舟勝 (御宿)
梅雨明けした7月のとある日の舟勝。
東京駅から特急で1時間と少しで出会える漁師料理の店。「漁師料理」というと粗っぽいイメージがあるが、豪快さを残しつつ洗練、昇華させたのがここの料理。行く度に、「今日はいい魚が揚がんなくってよ~」と云われるが、その日地元で揚がった魚が料理されるから。それでも、一度も残念な想いを持ったことはない。むしろ、訪ねる度に、驚きと幸せが待っている。
山芋の千切りとなめこの和え物と、若布やキュウリの酢の物で一杯。飲っている目の前では、魚が綺麗に捌かれていく。
今日の刺身の盛り合わせは、アジや鮪、平目の縁側、蛸など。ここに来る数日前に、無性にアジが食べたい日があったが、ここに来る予定があったためにスルー。時期的に、釣れていれば出してくれるだろうし、間違いなく旨いものが出てくると思ってのことだったが、予想を超える肉厚さ。引き締まった身にしっとりと脂がのって旨い。
続いては、烏賊の刺身。透き通った身から鮮度の良さが伺えるもの。そうとくれば、気になるのが腸。ダレ感も臭みもないのは勿論。口に含みトロリと溶けたところに、酒を
コクリと流し込むと、恍惚。
前回は頂けなかった、この店の名物ともいえる「酢なめろう」。酢で〆られて白くなった頃が食べ頃。まだ中は生で、〆たところとレアなところの温度差、食感の差がまた魅力。
煮魚は一人一匹。
こちらも名物の「イカの沖漬け」。極上のスルメイカを使ったもので、年によっては作らない年もあるほどの拘りの一品。奥は自家栽培の生姜。
最後には「カニコシ」。モズクガニをよく洗って、カニを殻ごと潰して、布巾などに包んで絞って、水を足して...というのを何度も繰り返して作る、材料は単純だが、大変な手間のかかるもの。「今日のは旨いだろう」との言葉のとおり、ほわほわふわふわと淡雪のようなのを口に含むと、濃厚なカニの風味の波がやってくる。
自分のように東京から足を運ぶ者だけでなく、地元の方や漁師も出入りする居酒屋で、そんな方々との束の間の会話も楽しい。山の中の静かな住宅街の中にあるが、いつも客で一杯なのは、料理だけでなく、この明るい開放的な空気のせいでもあるんだろうなと思う今日この頃。時間と電車賃を払っても、通いたい店。
【お店情報】
舟勝 千葉県夷隅郡御宿町六軒町157-31
TEL: 0470-68-5966
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コメント
舟勝、素晴らしいですよね〜。
まだ1度しか行ったことがないのですが、出てくる魚料理のレベルの高さはもちろん、実はスンゴイ日本酒の揃え、あのロケーション、そしてご主人や奥様の人柄も含めて、とても魅力的な店だと思います。
で、来月にでも再訪しようと計画中です。確かに、日帰り小旅行も兼ねて、もっと頻繁に、定期的に通いたい1軒ですね。
投稿: たろっく | 2010年8月17日 08:21
●たろっくさん
ほ~んと、すんばらしいです。
おっしゃるとおり、日本酒の揃えも素晴らしいですよね。
なんでここに?や、ほほぅ、こう来ましたかとか(笑)
行けば行くほど、あの雰囲気に魅了されると思いますよ。
私も来月伺う予定です。是非是非、通って下さい。
投稿: のむのむ | 2010年8月18日 00:19
今や遅しとこのエントリを待っておりましたw。年に一度行くのが精一杯です。来月行けそうなので、がんばっちゃいます
投稿: zal | 2010年8月20日 00:29
●zalさん
舟勝記事のファンの方も多いですねw
来月行けるといいですね!私も来月お伺いする予定です。
投稿: のむのむ | 2010年8月20日 07:58