青森 冬の旅 その2 しまや (弘前)
弘前に来たら、まず、訪ねなければならない店。「まず」の意味合いは、もちろん、最初伺ったときにすっかり魅了された、自分にとって何度も訪ねるべき店であること。
もう一つは、開店が午後3時ということ。東京から新青森を経由、弘前へ着いて、ほぼ店へ直行。こんな時間から腰を据えられる店があるというのは、短い旅を愉しむで、この上ない幸せだ。
郷土料理の看板をあげる「しまや」。並ぶのは、堅苦しいものではなく、家庭で食べられてきた料理だ。カウンターの向こうでは女将さんが手際よく料理をし、琺瑯のバットに装う。
その手際に感心していると、「下拵えをやっていれば、チャチャっと出来るのよ」と女将さんは笑う。が、その下拵えの丁寧さは、出される料理の透明感として滲み出る。
例えば、もやしの油炒めなら、髭をとり下処理したご当地の細長いもやしを、人参や油揚げと共に、サッと炒めたもの。何てことのない料理だが、ハリよく、シャクシャクと心地いい。素材の持つ特長と、手間暇を惜しまない気持ちが生みだす淑やかさ。
一噛みするごとに、じんわりと仄かな苦みを帯びた旨みが染みる身欠きニシン、
凍み豆腐にもたっぷりと味の滲みた、つぶ貝と凍み豆腐の煮物。そしてこれらに添わせるは、地元、三浦酒造の「豊盃」。七輪にかけられた、たっぷりとした湯でゆっくりと温められた燗酒は、ふっくらと柔らかい旨みが沁み、雪道を歩いてきた身も心も、ゆるりと温める。
この日、出会えたことが嬉しかったのは、けの汁。話には随分と聞いてきたものだが、目にし、頂く機会は初めてだ。雑多にいえば、大根や人参などの野菜、大豆、蕨やぜんまいなどの山菜類を細かく刻んだ汁物で、元々は、小正月に作られ、女性達が家事から解放され寛ぐための作り置き料理でもあったそうだ。
当然、店や家庭によって材料や味付けは異なるそうだが、しまやのたっぷりと大鍋で作られたけの汁は、大豆の風味が印象的な、動物性の食品が入っていないにも関わらず、ふくよかなコクと素朴な懐かしい味わいが共存。そして、女将さんの母性的な懐の深さに似た、温かみもご馳走だ。
弘前にそこはかとないエレガンスを感じるのは、モダンな洋館が印象的な古と新、洋と和が巧みに折り重なった街の印象もあるが、ここで受けた料理の印象が影響を与えているように思う。「しまや」は、弘前城の程近く。街を体感したら、ぜひ足を運んでほしいところ。
午後3時に訪ねて、店を出る頃には日も暮れて。次はいつ伺えるか、今から待ち遠しくて仕方がない。
参考:夏のしまやは、こちら
【お店情報】
しまや 青森県弘前市大字元大工町31-1 地図
| 固定リンク
コメント
青森行ったことないですぅ
てか
のむのむさん青森結構行っていますねー
途中に郡山(大豊)ありますよ ( ̄ー ̄)ニヤリッ
明日からまた冬みたいです・・・
投稿: ほぴほる | 2011年3月 1日 21:13
●ほぴほるさん
青森、ほぴほるさんとこから
近いじゃないですかー ぜひぜひ~
大豊行きたいんですー!!
今年の夏頃、北へ向かう予定(希望)がいくつかあるので、
立ち寄れればと
投稿: のむのむ | 2011年3月 2日 08:16
近・・・くないと思いますよ (^_^;)(^_^;)
ぜひぜひー (゚∀゚)ノシ
投稿: ほぴほる | 2011年3月 3日 15:48
●ほぴほるさん
東京からよりは近いでしょー!
待ってて下さいねー(笑)
投稿: のむのむ | 2011年3月 4日 08:23