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2011年4月17日

みぢゃげど (谷中)

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降り立ったのは根津の駅。土地勘のない街の暗がりの道を、少々不安になりながらもズズズイと進むと、ぼんやりと灯が点る一軒家。質素で飾らない佇まいに、紺地の暖簾。暖簾を捲ると、右手に囲炉裏場が二つと、品のいい女将さんと朴訥とした雰囲気の旦那さん。

「みぢゃげど」は、津軽料理を伝える店。弘前城の裏手に、青森県の重要文化財である「石場家住宅」があるが、女将さんは、この十九代続く名家の長女として生まれ育った方。幼い頃から津軽伝統の節句料理の手ほどきを受けたそうで、包丁さばき、味付けに至るまで、津軽の伝統そのままに味わってもらいたいと、今も日々努めていらっしゃる。

大井町「なか村」に続いてと、まさぴ。さんtakapuさんらと、総勢6名で囲む囲炉裏端。料理は季節ごとに変わるコース(8500円)のみ。伺ったのは2月、旧正月の頃。正月料理や、冬ならではの保存食、鍋ものなどがずらりと勢揃い。

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口取り

紅白蒲鉾、伊達巻、新巻鮭、昆布巻と、目出度い品が並ぶ。

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煮なます、黒生子、黒豆

「なます」というと、大根や人参を千切りにした甘酸っぱいものを思い浮かべるが、煮なますは、丸く優しい口当たり。正月に新巻鮭を焼いた際に作られるものだそうで、その際に出る鮭のアラでひいた出汁の旨みの滋味深さ。黒豆も、なんてことなく見えるが、瑞々しく粋で、口に含んだときの驚きたるや。目が覚めるようとは、正にこのこと。

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真だらの子のしょう油づけ

冬の青森の魚の代表格の真鱈。七子八珍の一つでもある真鱈の子を昆布などと共に醤油漬けにしたもの。プチプチと弾けると迸る濃い旨み。唸り、そして酒が進む一品だ。

みじゃげどでは、酒も津軽の地酒のみ。この日は、豊盃の「倶楽部」と特別純米。6人もいれば一升瓶なんて軽く空になる勢い。

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鮭の押しずし

いわゆる飯寿司。仕込みには、先の「豊盃」の蔵元である三浦酒造から麹を分けて頂いて使っているそうだ。漬けること一箇月。もちろん豊盃にぴたりと嵌ること、この上ない。

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青森やりいかの刺身

艶々と透き通った色白の麗しさに違わない、噛みしめると口一杯に広がる旨みにニンマリ。

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真鱈のじゃっぱ汁

「じゃっぱ」とは、共通語でいうところの「雑把」。屑や残り物や、魚のアラを指す。故に、この真鱈のじゃっぱ汁には、真鱈の頭や骨、白子や胃袋など内臓を煮込んだ汁だ。鉄鍋いっぱいのじゃっぱ汁は、囲炉裏にかけられて、雰囲気も抜群だ。

「こんな部位も入ってる」などと声を上げては、ふうふうはふはふと啜ると、アラや野菜から染み出た汁が胃に体に沁みて、ほおうと温かくなる。真鱈一匹丸々使うこれを愉しむには、なるほど、囲炉裏をぐるりと取り囲めるだけの人数が必要なわけだ。

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食事も終わりに近づいてくると、女将さんや旦那さんも交えて、津軽のこと、料理のこと、器や調度品のこと等、色んな話を聞かせて頂いたり。

津軽の文化が薫るみぢゃげど。食の興味のある人にも、青森に興味のある人にも、津軽の文化の源泉という料理と、女将さんと旦那さんのお話を是非にとお薦めしたい。自分はまた別の季節に訪ねたいと思っている。

【お店情報】
みぢゃげど  台東区谷中2-5-10 地図

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コメント

このお店は、津軽以上に津軽の味ですね。

津軽の味の歴史は家庭ごとの味を守ることで、
今も受け継がれる歴史。
その教科書のようなお店です。

もちろん、御用商人という家系もありますが、
やっぱり、すごいですよ。

あぁ…あの魔法のお水が飲みたくなってしまいました…

投稿: takapu | 2011年4月17日 23:23

●takapuさん
takapuさんのように、津軽の味を多く体験していませんが、
このお店の素晴らしさ、凄さは、手に取るように分かります。
そして、継ぐこと、守ることを大切にしてきている津軽の文化の素晴らしさも。
たおやかな凄みを感じます。

うちの実家のほうはどうなのかな?
漁師料理だったり、農家の料理だったり、
神宮に関連した料理だったりするわけですが、
ちょっと探索心が沸いてきました。

投稿: のむのむ | 2011年4月18日 09:15

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