ふく郎 （青森）

五能線を満喫して、夕方降り立った青森駅。目と鼻の先にあるホテルに荷物だけ置いて、いそいそと向かったは、長年来たかった「ふく郎」。葡萄色の暖簾をくぐると、まだ少し早い時間だというのに、地元の方や出張でと思わしき方で、既にカウンターは賑わいを見せている。

 
さぁてと壁に張られた品書きを眺めていると、先ずどうぞと出されたお通し。蝦蛄がこれでもかと入った一品。こんなのお通しでいいのかと驚きつつ、こりゃこの先が楽しみだと気持ちも弾む。

刺身のちょっと盛りは、帆立に烏賊、鰹に蛸など。惜しげなく厚切りにして出された地の魚は、三方海に囲まれた青森の海の魅力を伝えるに十分だ。並べる酒は、「豊盃・ん」「田酒」など、こちらも青森の酒。

青森に来たらこれを喰らわばと頼んだ「貝焼き味噌」は、烏賊、帆立など立派な具材が食べ進む度に出てくる、豪華な貝焼き味噌。

「貝焼き味噌」にも驚いたが、この日一番の驚きは、「とうもろこしの天麩羅」。見た目は地味だが、はむっと喰った瞬間、目を見張るというか、頭に「！」マークが瞬くというか。兎に角その鮮烈な美味しさといったら。恐らく岩木山麓で生産されている「嶽きみ」だと思うが、軽い衣の下から膨らみ広がる甘み。訪ねてからもう２ヶ月になるが、今でもあの驚きと美味しさは鮮明に思い出せる。

短冊の中からちょっと気になると頼んだのは、たたみいわし。「こんなのは珍しいでしょう」と微笑みながらご主人が出して下さったのは、たたみいわしの上に溶けるチーズを乗せて焼いたもの。これが、また酒に合うんだ。

料理はもちろん、朴訥としつつもてなしを感じるご主人と、居心地も抜群。青森に来たら、立ち寄らなければならない店が、また一つ出来てしまった。

【お店情報】
ふく郎　青森市安方1-10-12 　地図