豚児 ランチ （東銀座）

不勉強なもので、「豚児」が、自分の子供を謙っていうときに使う言葉であることを知ったのは、10年近く前にこの店を知ったときだ。歌舞伎座裏手、ぺるしぃや小や満がある辺りの一角。時代のついた店先は、「営業中」の看板がなければ、気付かないか、或いは、気付いても入っていいものかと思ってしまう。だが、出入りする人は少なくなく、自分の前に後にと、続いて客が入っている。

店中は意外に広いが、やはり随分と年を経てきたテーブルや椅子。これらは古いが手入れがされていて、いかにも街の食堂といった風情。品書きも多分に漏れず。とんかつライス(800円)から始まる献立は、定食なら600円～、かつ丼なら700円、焼きめし600円と食堂らしいメニューに値段。

お願いしたのは、ランチ(600円)。内容はそのとき次第らしく、今日は、かつ2切れ、コロッケ、カキフライに、ハムエッグ、ポテトサラダ。ご飯に味噌汁、漬物付き。上等なものではないが、この値段には申し分なく、何よりこの店に相応しい。

ご主人が一人で切盛りしているため慌しくはあるが、食べ終える頃には、新聞を読んだり一服したりとゆっくりとした時間も流れる。どこか懐かしく、少しセンチメンタルになってしまう、こんな店が今の銀座にあり続けていることが嬉しい。

【お店情報】
豚児　銀座3-12-14 　地図