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2012年2月19日

舟勝 (御宿)

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「舟勝のない人生なんて」というのは大げさではなく、知ってから本当に人生の楽しみが広がったと思う。行く度に大満足で帰路に着いても、暫くすると、行きたくて仕方なくなってしまう。東京駅から特急に乗って1時間と少しにある、自分にとっての至福の楽園だ。

御宿の海から離れた丘の上の住宅地に建つ漁師料理の店。「漁師料理」というと粗っぽいイメージがあるが、豪快さを残しつつ洗練、昇華させたのがここの料理。刺身はもちろん、手間暇を惜しまない料理と、どこで仕入れてきたのかと思う佳い酒が待っている。

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伺ったのは、昨年の年末。最初は、この時期にに良く出る「鰯のなます」。良く出るといっても、片口鰯を洗って、手で内臓を一尾一尾掃除して...と手間暇のかかる一品。「七回洗うと鯛の味っていうからよー」と笑うが、身の大きさを考えると気が遠くなりそうだ。

冒頭の刺身の盛り合わせ。新鮮なもの、少し熟成させたもの、昆布〆、酢〆と、魚によって最適な状態で出してくれる。特に、この日の〆鯖は格別。

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今日はもう一つあるよと出してくれたのは、この辺りでは、ワタナベと呼ばれるスマガツオ。水揚げが少なく、一般にはほとんど流通しないため、地元でも知る人は少ないそうだ。綺麗に脂が入った身は、噛むほどに旨みがじわり。

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舟勝の名物ともいえる「酢なめろう」は、この日はぶりの尾の身で。

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かさごの煮付けには、そのみの厚さに驚き、

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上品でふるふるとした茶碗蒸しの中から、3種類の魚が出てきてニヤリとし、

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一転、色目の鮮やかなお浸しに、ほっとする。

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「もう少し食べられるよね」と、出してくれたのが自家製の鰯の丸干し。生の片口鰯をきちんと天日で干したもので、香りといい染み出す味といい、こんなに旨いのは初めて。一口食べては、酒をちびりと流し込み、はぁと息を吐く。自分にとっての幸せを形にすると、こんななんだろうな。

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食事は、この日はおにぎりと、かにこし汁。おにぎりの握り加減がまた絶妙で、この上ない〆。後は、一杯になったお腹を擦りながら、ご主人に御宿駅まで車で送ってもらうだけ。そして、特急の最終電車に乗って、眠ってしまえば気がつけば東京駅という具合。

実は、先週も伺ったので、その時に印象的だった料理を数点ご紹介。

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まだ都内は寒いけれども、季節はきちんと移ろっていて、鰹がお目見えし、

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蕗の薹は、鰯と天麩羅に。サクサクに揚がったところを食むと、芽吹きの頃らしい苦み。さて、次は何に出会えるのだろう。こうやって書いている傍から、気持ちは御宿に飛んでいる。

【お店情報】
舟勝 千葉県夷隅郡御宿町六軒町157-31 

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