まにわ (阿佐ヶ谷)
誰が云ったか、「阿佐ヶ谷三大女将の店」の1店。
阿佐ヶ谷駅の北口は、居酒屋が立ち並ぶ賑やかなエリアだが、1本通りを外れると、途端に静かな住宅街が現れる。「まにわ」があるのは、そんな賑わいから少し離れた場所。にも関わらず、いつもにこやかな顔で溢れていて、凄く行きたいと思っているのに、中々入ることが出来ない店。旨い肴にいい酒、キリリとした美人の女将が切り盛りするとあらば、それも仕方のないことなのだけれど。
2月のある夜、店前を通ると、窓の隙間から珍しく空席があるように見える。そろそろと引戸を開けると、詰めれば8席のカウンターに、5人組と2人組の先客。「一人ですけど、よろしいですか?」と問うと、快く招き入れてくれた。
一品料理もあるが、基本となるのが、日本酒に合う酒肴をコース仕立てにしたもの(3,150円)。料理は丁寧で季節感も満載。そして、どれも酒によく合うと、「旨い料理で酒を」というときには、この上ない。訪ねたのは、まだ寒い日。お通しとして出されたほうぼうのあら潮汁が、冷えた体に染みて、体と気持ちが解けていく。
先付は、旨い出汁と丁寧な仕事が印象的な、ちぢみ小松菜と薩摩揚げのお浸し。奥は、沖縄の太もずく酢。シコシコと歯ごたえも良く健康的な一品に、「これなら飲んでも大丈夫」なんて言い訳がふと過ぎるのもご愛嬌。
刺身は、牡丹海老に、鮪、先のあら潮汁の身のほうぼう。生憎、白子が切れてしまってということだったが十分。少しづつ色々というのは、一人身には嬉しいもの。
焼物は、焼きめがそそる大山鶏のももの塩焼き。柚子胡椒との王道の組み合わせは、案の定、酒を誘う。思いがけず良かったのが、付け合わせのわさび菜。爽やかな辛味が鶏の脂にも、燗酒にも良く添う。
肴物のまぐろの酒盗は、酒呑みなら、誰もが舌舐りするだろうこの姿容。愛でて一杯、嘗めて一杯。恐らく、相当締まりのない顔をしているんだろうなと思うから、この幸せを一人占めしたいけれど、誰かと共有したい気もする。恐らく、どちらも正解で、現に、隣り合う先客は、皆、楽しく幸せそうだ。
最後は、小立ての鍋に、菜の花や菊、白魚、栃尾揚げを玉子でとじて。ほくほくと体も温まり、胃も落ち着くというものだ。
食事が欲しい方は単品メニューから。自分は頂いたことはないが、牡蠣や鯵、秋刀魚、鯛などの季節の炊き込みご飯も絶品だそう。日本酒3合に最初のビールで6,000円弱。コースでどっぷりと楽しむのは勿論だが、一品料理のバリエーションも多く、酒は半合からと、二軒目利用にも向く。席を確保される場合は、早めにご予約を。
女将さんは、ご自身も食べること、飲むことがお好きのようで、店に入れば安心して身を委ねることができる。さっぱりとしながらも、気遣いのいい接客も心地よく、一度訪ねるとまた来たいと思う方が多いのも頷けるというもの。斯く言う自分も、その一人。
【お店情報】
まにわ 阿佐谷北2-10-11 地図
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コメント
これまた、すっごくツボなお店です・・・
どの肴も丁寧に作られている感じで、しかも「呑めれば肴はいらない」と豪語しちゃうような人でもつい箸を取っちゃいそうな品ばかり。
やっぱり、飲むのも食べるのも好きな人はいいですネ〜♪
投稿: さおぷー | 2012年3月18日 23:27
●さおぷーさん
そーなんです!
そんなに肴はいらないほうなんですけど、
ここだと、箸が進んじゃうんですよね。
メニューや味はもちろん、量も頃合いが好くて。
女将さん自身が、飲んで食べるのがお好きだから、
「いい具合」がよく分かるんでしょうね。
入りにくいのだけがナンですが、
あきらめずに、チャンスを待ちたいと思います!
投稿: のむのむ | 2012年3月19日 09:06
まにわさん♪ いいお店ですよね!!
飛び込みで入れたなんて日ごろの行いが良いからですね~
以前は2ヶ月に1度は伺っていましたが・・・最近なかなか伺えないので近々予約にチャレンジしてみます!!
投稿: いざ酔い日記 | 2012年3月19日 10:35
●いざ酔い日記さん
ほんと、いいお店ですよねー。
予約をすればいいんですが、
今、中々夜の予定が組みにくいので、
前を通っては覗いているのですが、
この日は、ほんとラッキーでした!
お酒の神様が味方してくれたのかもー♪
季節感があるから、ちょっと時期が違うと、
また楽しいですよね。
投稿: のむのむ | 2012年3月20日 12:06