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2013年1月27日

北島亭 (四谷)

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ずいぶんと久しぶりになってしまった。初めて訪ねたのは10年ほど前だっただろうか。アミューズでワインを1本空けてしまってマダムに笑われたこと、アラカルトでお願いした蝦夷鹿のたっぷりとした脂を綺麗に食べて褒められたことは、今も好い思い出だ。

そんな楽しい思い出のせいか、数年前、基本コースでとなった頃から、なんだか足が遠くなってしまっていた-今となってはそれでも存分に楽しめると思うが-。美味しいものでお腹がいっぱいになる幸せ。そこは、全く変わっていない。


久しぶりに伺った旨を告げると、「以前とは少し変わったんですけれど」とコースの内容を案内してくれた。満喫したいと一番ボリュームのある5皿のコースをお願しようとすると、「よく召し上がる男性でも十分にお腹いっぱいになりますので」と熱心に止めてくれたため、4皿のコースを。冷前菜、温前菜、魚、肉を一つづつという選ぶもの。ただし、温かい前菜~肉料理までは、テーブル毎に1種類にというのがお約束だ。

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早速のアミューズは2種類。粒貝のドレッシングかけと、凝縮感のある海老のビスク。

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冷前菜は、この店の名物の一つである『生うにのコンソメゼリー寄せ』をお願いいたいところだが、牡蠣につられて。牡蠣とカラスミの組み合わせは初めてだったが、牡蠣の旨みが消え去りそうになると現れるカラスミの香りと旨みに、成程と膝を打つ。

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料理を選んでいる折に、今日のおすすめとしていろんな食材を見せてくれるが、その時にどうしても気になったのは白子。その白子をムニエルにし、酸味のあるトマトソースを添えて。

白子のムニエルの感想ならば、『外はカリッと、中からトロ~ッと』というのが定番だと思うが、これは然に非ず。むしろ、善い四足の内臓を食べているような、むっちりプリンとした張りやコシが口に踊る。

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『カリカリ焼き』という料理名そのとおりに、カリカリに焼かれた皮め。そこにナイフを入れると、ほわっと溢れ出る香り。それはまるで鯛めしのように、仄甘く、ほぐした身の一つ一つを感じる程にふくよか。そして、身は舌の上でほわほわと軽やかにほどける。
似たようなものはいろいろなところで頂くが、この瞬間のときめきはなんだろう。

さらに、心踊らされたのは、添えられた『尾』。パリパリと軽く、旨みもあって好いツマミ。旨くて気取らず。そう、思うのは、『なんだ、やっぱりここが好きなんだ』ということ。

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肉料理は悩みに悩んだ。でもやはり、『思い出の蝦夷鹿』の首肉のロースト。
あの時の蝦夷鹿の脂はほどではないけれども(今出されても食べきれないと思うが)脂のついたものと、熟成させたもの。魅了される香りに濃い薔薇の色。誘われるままに口にすると、柔らかく、噛むほどに溢れる旨み。そして、そこには赤ワイン。満たされるとは、きっとこういうときのことを云うんだろう。栗のペーストや、リンゴのソテーも素敵だ。

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デザートにはアールグレイのブランマンジェ。

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焼き栗に焼き菓子はさすがに食べきれず、なぜかみかんなどを入れて貰っての楽しい土産に。「4品にしてよかった」とサービスの方に伝えると、我々の食べっぷりに「もしかして足りなかったかと実は心配でした」とニッコリ。

満喫に満喫して、最後の客となる。帰り際、見送りに出てくれたシェフに、鹿がとても美味しかったことを伝えたところ、「そんなこと言われたことがないよ」とはにかむ。嗚呼、そうこれだ。そう遠くない日、この笑顔と薔薇色の肉に、また会いに来るに違いない。

【お店情報】
北島亭 新宿区三栄町7 地図

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コメント

私もスープとステーキ何て頼み方で
コチラのお肉堪能してました

引っ越して家から遠くなってから
随分とご無沙汰ですが
お肉の美味しさは変わらずみたいですね(*^_^*)

コースで頼まなきゃなのが
にゃにゃにゃんとですが
記事読ませて頂いて
久々に訪問してみたくなりました☆

投稿: Ginger | 2013年1月27日 17:55

●Gingerさん
Gingerさんもご無沙汰のようですね。
お肉の美味しさは変わらずどころか、
ますます美味しくなってるかも(^^)

コースは皿の少ないのにして
肉は大きくカットしてもらうこともできるそうですから
思っているよりも楽しめるように思います。
ぜひ~~♪

投稿: のむのむ | 2013年1月28日 07:19

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