ウィルビウス (三鷹)
半年ぶりに訪ねたウィルビウスは、やっぱり、否、もっと素晴らしく。中央線に住んでいてよかったと心から思わせてくれる場所。
以前訪ねたのは、オープンして少し経った夏真っ盛りの頃。シェフとマダムにまた会えた悦びと素晴らしい料理は、まるで昨日のことのように鮮明に覚えている。『季節が変わったら、また必ず』 その思いは、寒さも募る2月のある日に結実。半年が過ぎ、店はしっかりと落ち着きを見せ、シェフの料理とマダムの笑顔が、穏やかで幸せな空気を作っている。
頂いたのは、前回と同じ、おまかせのコース(5500円)。一口前菜は、白子と帆立、ほうれん草のグラタン。帆立の甘み、白子のまったりと蕩ける旨みはもちろん、ベシャメルのコク深さ温みが沁みる。アツアツのところを、一口掬って食べるたびに、ニッコリと頬が緩む。器は小さいがグラタン皿で頂いたくらいの満足感に、早くも季節を違えて来てよかったと思う。
一皿目の前菜は、生雲丹と人参のムースコンソメゼリー寄せ。前回も頂いたスペシャリテだ。たっぷりと入った生雲丹も旨いが、真骨頂は極上のコンソメゼリー。いろんな店で似たものを頂くが、正直ここが一番好みだ。「このコンソメ、とても美味しいですね」とマダムに伝えると、嬉しそうに「シェフが丹精込めて作っていますから」とニッコリ。お二人が寄せ合う信頼が、ここに見えるようだ。
二つめの前菜は、鱈と牡蠣のパイ包み焼きのスープ。まずは、運ばれてきたときのパイの香りにうっとりし、パイを崩せば、立ち上るスープの香りにまたうっとり。ほくほくの鱈にぷっくり太ったした牡蠣。そして、それらの旨みを吸ったスープ。シンプルだが、何処にスプーンを入れても味わい豊か。胃だけでなく、心までホッと温かくなる。
魚料理は、関鯛のポワレ。海流の荒い場所で育った逞しく身の締まった身は、口に入れるとしっとりと溶け、パリパリに焼かれた鱗は、軽く弾けるアクセント。食感の面白味と、口を動かす度に沁みだす旨みに、夢中になる。
蝦夷鹿の、この肉欲的な薔薇色足るや。肉質は滑らかでしっとりと柔らかく、喰むほどに舌にしっとりと絡みつくようで、何とも艶めかしく官能的だ。そんな魅惑的な肉に負けじと印象的なのは、付け合わせの野菜たち。一つ一つがそれぞれに食感と味わいで存在を主張する。
デザートには、あまおうのスープ。その見た目に鮮やかさと甘酸っぱさが、次にやってくる季節を教えてくれる。最後にプティフールとお茶を。前回はプティフルールを持ち帰らせてもらったが、この日は完食。
旨いもので胃だけでなく、香りや食感で存分に楽しませてくれて、満ちに満ちて。ワインも驚くほどの値頃感で、中央線沿線に住む者としては、もう都心のレストランへは行けないかもしれないと思う。
あまりに倖せな時間を過ごしたせいで、帰り道は随分と興奮して話してたなと、今振り返ると恥ずかしい。尤も、今これを書きながら、『次は何時』と考えるだけで、ドキドキと胸が高鳴ってしまってしまうのだから、もうどうしようもなく魅了されてしまっているらしい。
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コメント
食べた気分になっております(笑)
投稿: zal | 2013年3月10日 21:18
どもども、お久しぶりです☆
急にお店(の電話)がフィーヴァーしたので
「どうしたんだろうね」って話してたんだけど、理由はこんな近くにありました(笑
近いうちにまた一緒にご飯行きましょう!
投稿: たけ | 2013年3月11日 07:39
●zalさん
お粗末様でした(笑)
投稿: のむのむ | 2013年3月11日 08:00
●たけさん
ご無沙汰しておりますー!
もしや、昨日お店にいらっしゃった?いいなー。
っていうか、その理由はここじゃないと思うけど(笑)
こちらこそ、ぜひまたご一緒に!!
投稿: のむのむ | 2013年3月11日 08:03