やんたけ (阿佐ヶ谷)
こんなに佳い店が隠れているのが、阿佐ヶ谷の素敵なところ。
この店良さそうだなァと思っても、そのタイミングで店に入ることは殆どない。根がチキンなもんだから、一見がふらっと入っても大丈夫だろうか等々色々と考えてしまって、店の前を通り過ぎるだけの何日も送ってから、ようやっと店の扉に手をかけることができるというのが正直なところ。そんな中でも「やんたけ」は、店に入るまでに随分とかかった店だ。
というのも、小さいビルの2階にあって、外から分かるのは窓から漏れる灯りと、品書きだけ。それでも、あるときは鰤、またある時は牡蠣のおでんと、日替わりの旬が満載の品書きは、これは行かなくちゃと思わせるに十分だった。
自分の予感が正解だと思ったのは、とりあえずにお願いしたレモンサワーのレモンの果実感や香りの素晴らしさ。いいレモンなんだろうなと思っていたら、店で扱う野菜は、一般に流通しているものは使わず、化学調味料、添加物使用のものも使わないそうだ。
食材へのこだわりも嬉しいが、料理がこれまた好い。冬と春が混じり合う頃のある日の品書きには、生のホタルイカに、初かつお、つぶ貝、鯖に鰯と悩ましいラインアップ。
しかも、鰹ならば、刺身でもタタキでも、鯖ならは、刺身に〆さば、炙り、さらにはごま鯖でも、という。〆さばがあるなら、決まって〆さばを選ぶが、ごま鯖があるとなると、これは大問題。あまりに悩ましすぎて、その時間だけで1合飲めそうだ。結局お願いしたのは、ごま鯖。漬けだれの染みた鯖の脂の旨いこと、旨いこと。
鰯の洗いをお願いすれば、薬味もたっぷりとした洒落た盛り付け。そのままでパクリ。貝割れ大根や茗荷を添えてパクリと、存分に楽しめる量も嬉しい。
ある日のアジフライは、一口食べれば、例えばここは違いの辺りとか鯵のどの部分かが分かるほどの鯵らしさにグっとくる。そして、隣に添えられた付け合わせのキャベツが、お代わりしたいほどに旨いのだ。
揚げ物といえば、季節ものの山菜の天麩羅があって、この日は蕗の薹、たらの芽、独活の3種類。鼻腔に広がる芳香にうっとりとして、そこへ酒を流しこめば、満足の至り。塩にも、抹茶塩に、桜塩と季節感を添えて。
素材の美味しさを感じるなら、やはりそのままを味わえるものと、蕗味噌の野菜スティックをお願いすれば、蕗の香りは勿論、皮付きの人参の美味しさが印象的。ちなみにこれは350円。
独活と若芽の酢味噌ならば、300円。ちょっとしたツマミなら200円~と懐に優しいところも有り難い。もう都心では飲めないかもと、ある意味心配でもあるが…。酒はビールに焼酎、日本酒、泡盛、ワイン、自家製のジンジャーシロップを使ったものなど、品数豊富。日本酒についていえば、伯楽星、黒龍、大七、乾坤一、飛露喜等10種類弱と、頃合いの好いものが揃う。
好い酒場があるという理由で、阿佐ヶ谷に住んで10数年だが、やっぱり阿佐ヶ谷恐るべし。つい先日も伺ったが、フライの衣が手作りだったり、鰹節が素晴らしかったりと、伺う度に驚かされる佳店。これだから、阿佐ヶ谷から離れられないんだ。
【お店情報】
やんたけ 阿佐谷北2-12-4 2F 地図
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コメント
のむのむさん、こんばんは。
ちょっとコメントはご無沙汰しておりましたが、
勿論いつも拝見しています♪
それにしても今回のお店も佳いですねぇ(溜息)
阿佐ヶ谷に素敵なお店が多いのは確かだと思いますが、
それ以上にのむのむさんの嗅覚が素晴しい〜(^.^)
投稿: さおぷ− | 2013年5月21日 22:05
●さおぷーさん
こんばんは。コメントありがとうございます!
いや~、本当に阿佐ヶ谷に住むことを決めた昔の自分を
褒めてあげたいです(笑)
毎日違う店に行っても、たぶん1年では回り切れないくらいなので
通いたい店と新しく出会った店が年々増えていって大変。
嬉しい悩みです(^_^)
投稿: のむのむ | 2013年5月22日 01:08