豚児 オムライスと味噌汁 （東銀座）

オムライス。それもケチャップライスを薄焼き玉子でくるんと巻いたアレが食べたい。こんなときは早川だが、今日は豚児。洋食屋のソレよりも、ちょっと中華料理店的なオムライスを求めてのことだ。

先客がお一人の静かな店内に響く、ガチャンガチャンと鍋を振る音に、カシャカシャと玉子を混ぜる音。自分が思い描いてきたものが形になっていく様子が、厨房に背を向けているにも関わらず、鮮やかに想像できる面白さ。

この店をご存じの方ならお馴染みの白い皿目一杯のオムライス(700円)。玉子の端や裏側にはちゃんと半熟の部分があったりして、ニヤニヤが止まらない。手前から徐にスプーンを入れると、黄色の縁から覗く緋色。肉と玉ねぎだけのシンプルな具だが、皿から店から漂う油の甘い香りのせいか、一心不乱で食べ進む。

本当は、玉子が入った豚汁を追加して玉子に浸ろうと思ったが、12時を回って続々と訪ねてくる客に、手早く出来る味噌汁(50円)を。ご主人が一人孤軍奮闘する中、待つ客のほうがのんびりとする光景が、何とも好い。歌舞伎座の開場で湧く東銀座だが、こんな風景があることを嬉しく思う。

【お店情報】
豚児　銀座3-12-14　地図