シンパチキング (丸の内)
やはり、『酒は純米 燗ならなお良し』。
丸の内3丁目、国際ビルの中の地下1階。ようやっと丸の内で、腰を落ちつけて飲める好い店を見つけたと、この数か月伺っている店。
「シンパチキング」という名前で、ピンと来た方は日本酒党の方だろう。そう、ここは、名酒場「神田新八」の初代が、新しく興した店。しかし、本店とは異なり、店先には屋台が置かれたりした気軽な雰囲気で、値段も抑え目の普段使いの居酒屋。酒なら、神亀純米辛口、鯉川純米、大七生もとClassic、天遊林、手作り純米等々が8勺500円。しかも料理は無化調というのだから、この上ない。
例えば、一人一皿限定の「牛すじ肉とうふ」は、一皿150円。下拵えがきちんとされて、煮汁が染みて、如何にも旨そうな甘辛い香りを漂わせた定番の品は、軽い一人前。これとその日替わりのお通しで、まずはのビールを飲りながら、その日の品書きをじっくり眺めて、これからの展開に頭を悩ませるのが自分の定番だ。
旬の品が揃うのも、この店の魅力。例えば、春先ならば、蛍烏賊と独活の金平。ぷっくりとして、噛むほどにじゅわりと溢れる蛍烏賊の旨い肝に、独活独特の歯触りと香り。色を添える紅い蒟蒻が、これまた艶っぽい。
少し前に伺ったときには、見事な鰹の刺身を戴いた。刺身そのものだけではなく、薬味までキチンと手が掛っていることが嬉しい。
料理の美しさは、こんな料理にも。蓮根にすり身を詰めて、あられを衣にして揚げたもの。これ自体も旨いが、箸で摘まみ上げたり、食べている間にポロポロ落ちたあられを、またツマミに昇格させたりして。貧乏臭いという勿れ。これがまた旨いんだ。
いつ行ってもある定番メニューも悩ましい品揃え。例えば、豆鯵の南蛮漬けならば、こんなにも素晴らしい皿。ばくらい長芋和えや鯛わたの塩辛なんていう左党が悦ぶ通なものから、コロッケ、ハムカツなど腹に貯まるものまで。380円~と云われれば、ついついもう一品と願いたくもなる。
有楽町、東京駅にも至便で、ついつい仕事帰りに寄ってしまいたくなるから、テーブル席が主体の店は、月曜からそれぞれの酒と肴で盛り上がりを見せる。自分はといえば、その賑やかな談笑をBGMに、席数のあまりないカウンターの端っこで地味に呑むのが好きだ。
そんなところが、先日発売されたdancyuに掲載されたそう。好い店が多くの人に知ってもらえる嬉しさもあるが、席の確保が難しくなりそうで戦々恐々。それでもきっと、ここでの倖せな時間を想って、ついつい寄ってしまうのだろうなァ。
【お店情報】
シンパチキング 丸の内3-1-1 国際ビルB1 ぐるなび
【今日のつぶやき】
dancyuといえば、今号の特質すべき記事は、弘前の名居酒屋『「しまや」のすべて』。あの「普通」の凄さ、素晴らしさを、本当に多くの方に知って頂きたい。日本が誇るべき居酒屋だと思います。
また、我が故郷、伊勢の居酒屋記事もありますので、ぜひご一読を。そして、宜しければ、足をお運び下さい。今夏は、自分の久しぶりに帰省するつもりです。
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