福よし (気仙沼)
夏の福よしは、鰈に、雲丹、海鞘、鮑!
10か月ぶりの気仙沼、そして、福よし。これまで何度も訪ねてきたが、いつも夏の終わりから、秋にかけてばかり。福よしといえば、刺身にしろ、名物の焼魚にしろ、秋刀魚のイメージが強いもんだから、盛夏の福よしで、何が出てくるのかを、とりわけ楽しみにやってきたのだ。
この日は大人数のお客さんの予約が入っているらしく、早い時間からの客はカウンターの数組のみ。「久しぶりですね」と声をかけてくれた板場を仕切るお兄さんに、5,000円くらいでお任せをとお願いすれば、後は、身を任せるのみ。先ずはと定番で出される「烏賊のわたやき」を突きながら、目の前で捌かれていく魚を見ては、アレが後で自分のところにも、やってくるのだなァと思うと、これまた愉しい。
そんなところへ登場したのは、この見事な刺し盛り。鰹に烏賊、ホタテ、北寄。立派な海老の名前は失念してしまったが、身を食べれば蕩けるように甘いし、味噌がまた美味。
そして、「これもね~」と出してくれたのが、若芽にのった雲丹。雲丹は勿論、若芽がまた好いのだ。
続いては、串を打って専用の囲炉裏で焼く、日本一の焼魚。秋刀魚がない時期には、何がでるんだろうと思っていたら、惚れ惚れするほどに見事な鰈。黒い皮目の箸を入れると、仄かに甘い香りと、うっとりするような白い肌がちらり。じわりじわりと炙られたそれは、ほっくりして、品の良い旨みを残して舌にとける。
もう一本は、名物の吉次。蟹や海老を焼いたような芳ばしい香りと、艶々と旨い脂を湛えた身が身上。食べ終わって残った頭やヒレ、尾は、その後スープにもしてくれるのだが、これらもパリパリとして旨いから、ついつい綺麗に食べてしまって、そのスープに行きついたことはない。
次に出ていたのは、これまた立派な鮑の刺身。正直に云えば、鮑は生よりも火を入れたもののほうが好みだが、これは唸った。これまでの刺身とは全くの別物。はちきれんばかりの肝もいい。
そうか、この季節なら海鞘があった。やはり苦手な方も多いのか、「海鞘、召し上がれますか?」と聞かれたが、「大好物です」と返事すると、届いたのが、剥き立ての海鞘。鮮度がいいものならではの品のいい磯の香り、ほろ苦さ、噛むほどに広がる甘さに唸る。
鰹のたたき。同じ鰹でも、こうやって食べると、また味わいも変わるというもの。それにしても、この日は、乾杯のビールに続いて、2人で四合瓶3本。さすがに飲り過ぎだ。
気仙沼の街は、10か月前よりも、ビルの撤去が進み、新しい建物が増え、行き交う人、仕事をする人も増えたように思うが、まだまだ、空き地が目立つし、ニュースにもなった津波で座礁した大型漁船は、今もそのままだ。一方で、復興のために働く人にも沢山出会った。
これからの時期なら、戻り鰹に秋刀魚。その後には、牡蠣も出る。まだこれからの方も、以前訪ねたことのある方も、何度でも、気仙沼へ、福よしへ。
【お店情報】
福よし 気仙沼市魚町2-5-7 地図
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コメント
ノムノムさん、こんにちは。
気仙沼は、宿泊されたのですか?
舟勝さんの次は、福よしさんかなと。
投稿: nobi | 2013年8月19日 12:09
●nobiさん
もちろん宿泊です。ここで飲んで、帰れる気がしません(っていうか無理?)
気仙沼の宿は、復興の仕事をされてる方のために利用されているものが多いので
観光用の宿が、かなり取りにくくなっています。
福よしの予約よりも先に、ぜひ宿の予約を。
投稿: のむのむ | 2013年8月19日 22:22