鳥聖 (中野)
普段使いの焼鳥屋は1本100円ちょっとくらいの手軽でサクッと飲って帰る店と思っているが、偶には、佳い鶏を使い、仕事をした料理が出てくるような、料理を楽しむ店にも行きたくなる。
新仲見世通り、「川二郎」の並びにある鳥聖。暖簾の下からチラリと見えるコの字のカウンターに、頃合い良く空席を見つければ、引戸を開けて「一人ですけど」。これで、今日は好い時間が約束される。腰を掛ければ、焼鳥屋というには、手の込んだ突き出しが先ずはの突き出し。ある日は風呂吹き大根。また或る日は、金平と鳥スープ。つい先日などは、新物の筍。
ここの看板は、青森シャモロック。何でもご主人のご両親の故郷が青森なのだそうだ。シャモロックは地鶏の中でも好きな鶏だが、改めてその素晴らしさを魅せられた気がする。レバー好きなら、先ずはお願いしないと!
とお願いしたなら、こんなにも立派なレバー。口を大きく開けて頬張ると、ぶわっと寄せる滑らかで濃厚な波。
レバー好きなら思わずニヤニヤする1本だったが、もっと驚かされたのがシャモロックのハツ。ブリブリとした弾力にある歯応え。その食感に驚いていると、ジワジワと膨らみ出す旨み。「一番好きな部位はハツです」と云ってしまいたくなる。
これだけ焼きが旨いのも、一つは鮮度が好いからだろう。鳥聖では、シャモロックの刺身も人気。正直に云えば、「鶏刺し」は焼き鳥程好きではないが、これなら旨いんじゃないかと思っての事。単品もあるが、お願いしたのは盛り合わせ。ささ身、レバー、砂肝の3種類だが、印象的なのは、その瑞々しさ。蕩けるようなもの、シャクシャクと小気味好いもの。それぞれ特徴はあれども、どれもきめ細やか。
シャモロックなら、他にねぎ間や、質の好い脂がのったネック等。どれを食べても、シャモロックの美味しさを再認識させられる。
シャモロック以外は大山鶏。これを使ったもう一つの名物が塩つくね。修行されていた店のつくねを踏襲したものだそうで、口にすると、レアかと思う柔らかさとジューシーさに驚く。
定番のメニュー以外にも、その日おすすめの串メニューもあり。ある日のしそ巻き(好物)も、しっとりした身に梅だれも好かった。
焼き鳥だけでなく、料理も季節感があって愉しいもの。お通しをみればなるほどだが、あれこれ少しづつ食べたいなら、ちょっとづつ3点盛りもいい。
こちらも青森のあすなろ卵を使った親子丼もメニューにあって、飲んでも〆ない自分には今のところ高嶺の花。時期には、真鴨などのジビエの串焼きもあり、ご常連の方によれば、毎年楽しみにしているそうだ。ううん、まだまだ愉しみがあるなぁ。
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