まにわ (阿佐ヶ谷)
普段呑みに行くときはいつも、「あの気になっていた店に行こう」とか、「そういえば、ご無沙汰しているなァ」と、その日の気分や時間によって、独りふらりと。これは気ままでとても愉しいが、残念なのは、大好きなのに、予約で一杯になってしまう店に、なかなか伺えないこと。
「まにわ」もそうだ。カウンター8席のみ。今日は多少はゆっくり飲める時間があるなァと、外から中の様子を覗き見ても、いつもにこやかな顔で溢れていて、残念な気持ち半分、羨ましい気持ち半分で、前を通り過ぎることがほとんど。
ところが或る夜、店前を通ると、窓の隙間から珍しく空席があるように見える。そろそろと引戸を開けると、早い時間の先客が店を後にしたタイミングだった様子。「一人ですけど、よろしいですか?」と問うと、快く招き入れてくれた。
一品料理もあるが、基本となるのが、日本酒に合う酒肴をコース仕立てにしたもの(3,150円)。料理は、高級な素材はないが、丁寧で季節感満載。そして、どれも酒に好く合うと、「旨い料理で酒を」というときには、この上ない。例えば、先付なら、ポテトサラダに、切り干し大根、もずく酢。メニューとしてはありふれていても、ポテトサラダなら、ほくほくした男爵の食感にマスタードをキリリと効かせて、切り干し大根なら、優しく、キチンと食感を残した品の良い仕上げ。
次いでの刺身。もう最後の客だったから、甘海老がなくなってしまっていたが、それも、立派な鯖寿司と鮪漬けを前にすれば、全く申し分なし。一口食べて、ツイッと一杯。もう一口で、もう一杯。肴が酒を呼び、酒がまた肴を呼ぶ。
煮物は、蕪、玉葱薩摩揚げ、高野豆腐、椎茸、菜の花の炊き合わせ。噛むほどに、旨い出汁がジュッと溢れて、その度に頬が緩む。、また、薩摩揚げの滑らかな舌触り、滋味な玉葱の甘さが印象的。
蛸と若芽のぬた。奥に見えるは、自家製の糠漬け。旨くてもうちょっと食べたいと思うが、独りで呑んでつまむには、絶妙な分量。これも、女将さんご自身が、食べること、飲むことがお好きだからなのだと思う。
コースの最後は、大山鶏のつみれを入れた粕味噌の小鍋。まだ寒い時期、粕でぽかぽかと温まるし、胃も落ち着くというものだ。
食事が欲しい方は単品メニューから。自分は頂いたことはないが、牡蠣や鯵、秋刀魚、鯛等の季節の炊き込み御飯も絶品だそうだ。コースでどっぷりと楽しむのは勿論、一品料理のバリエーションも多く、酒は半合からと、二軒目使いも可。席を確保するなら、早めのご予約を。
さっぱりとしながらも、気遣いある接客も心地良く、一度訪ねると、また来たいと思う方が多いのも頷けるというもの。斯く云う自分もその一人。
【お店情報】
まにわ 阿佐谷北2-10-11 地図
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コメント
好いお店をご存知ですね、羨ましい限りです。
多分きれいに手入れされた、まな板(これがご馳走)が、
入った途端に迎えて呉れる、気持ち良いお店でしょう。
しっかりと仕事をした日本料理って、
手間に関係なく「心遣い」が基本に有って、
素材とのコラボが抜群!ですね。
どうぞ大事にして下さいな。
鄙に棲まう爺は、行けなくって悔しいけれど、
新しく開陳するブログを楽しみに、してますっちゃ!
お客さんに大事にされている「程の好い」お店って、
どうか大切にして下さいな。
「食材+お店+お客」の黄金トライアングルは、
みんなを育てるんでしょう…
ああ、行きたいけれど、帰りのシンカンセンが間に合わない!
最寄り駅までたどり着いても、
小一時間フラフラと歩かにきゃあ。
またまた!途中で股!パトカーに不審尋問されて、
駅前交番に戻されちゃう~と…
知り合いが迎えに来てくれないと、
解放(釈放)して貰えません!
旨い物を宵に食えるって、稀有な事なり。
投稿: よろヨレ爺 | 2014年3月31日 14:16
●よろヨレ爺さま
本当、大事にしていきたいお店です。
もう少し席数があれば、もっと伺えるのにと思う反面、
この大きさだから、できることなんでしょうね。
これからも、今日は入れるかなぁとドキドキしながら
お伺いしたいと思います。
投稿: のむのむ | 2014年4月 1日 07:56