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2014年9月23日

しまや (弘前)

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今年も、青森は弘前にやって来る。この地を赴く理由は、専らここ「しまや」を訪ねるためだ。


いつもは開店直後の3時過ぎを狙って訪ねるが、今回は青森2泊。余裕のある旅ゆえ、4時半頃に暖簾をくぐる。「こんにちは~」と声をかけると、「あら、前はいらっしゃったのはいつだったっけ?」「ちょうど一年ぶりくらいです」なんて会話をしていると、ママのにこやかさもあって、1年の空白などすぐに吹き飛んでしまう。

それにしても、ほんの1時間と少し違うだけで、随分と感じが違って見えるもの。既に、ご常連さんや、ここに来るのを楽しみに出張に来ている方々が、すでに店を温めていて、瓶ビールを片手にそこに混ぜて戴く格好だ。

 

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既に、カウンターに置かれた琺瑯のバットには、料理が随分と並んでいて、これと、これと、これなんて指さし。シャリシャリッとした食感の涼味が印象的なミズと油揚げに、

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清水森ナンバと茄子を豚肉で巻いたもの。ママ曰く「ナンバは、もう少し大きくなると、こうやって食べられなくなっちゃうから」。こうした季節の移ろい、日々の手仕事を大切に、しかも当たり前のように。ここに来る理由の一つがこれだ。

そうこうしている間に、隣に座っていた方がママに聞き出したのは、ここだ舞台となったJR東日本のCMの話。この日、ここに来たら、自分も絶対に伺おうと思っていたこと。撮影の苦労話を聴いたり、写真などを見せてもらっていると、偶然にも、客としてCMに写っていたご常連さんがいらっしゃったりして、大盛り上がり。

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小さな黒板に、「ぬた」を見つけてお願いしてみると、
「酸味が強いでしょ」と云うとおりに、自分が作るもの、知っているよりも酢が効いたもの。少し口が驚くが、味噌や葱の感じは、むしろ実家辺りの「ぬた」に近くて、不思議な縁を感じたり。

 

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昨年も頂いた高野豆腐と帆立を見つけてお願い。高野豆腐が好物なのだが、ここのは、高野豆腐自体がとてもしっかりとして旨いのだ。さらに、そこに、帆立のエキスと出汁が染みて、食べるとじゅわりとそれらが口一杯に広がって、幸せだ。

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ちょうど揚がったばかりの魚のフライを戴いたり、ご常連さんからのおすそ分けと生ハムや、だったらとママが即興でカルボナーラのようなパスタを造り出したりと、地元の方が云う「普通の居酒屋」の顔を垣間見た気がする。

何故、ここに来るのか。好きだからに他ならないが、実家の台所のような懐かしさや温もりと、そこで作られる料理の素朴さの中から香り立つエレガンス。それは、自分が持つ弘前という街の印象にとても近しい。自分が育った街ではないし、年に一度の旅人だが、不思議と帰って来た気がするのだ。


【お店情報】
しまや 青森県弘前市元大工町31-
1
 地図

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