一月家 (三重・伊勢)
湯どうふ屋と呼んでいるのは、ここの名物の一つが湯どうふだからだ。温められた豆腐にたっぷりと鰹節と葱が載る。熱々というよりも、とっぷりと湯に浸かって、ぬくぬくとして、とてもやさしい。
実家に帰って来たら、必ず食べる「鮫たれ」を見つけて、これを貰う。自分の家では、「さめんたれ」と呼んでいたが、伊勢地方に伝わる鮫の干物で、普通に食卓に上っていたもの。だが、ここのは身も厚くふっくらとした極上品。これには思わず、お燗、お燗だ。
実家の玉子焼き似た、ほんのりと甘い玉子焼きが、やたらと郷愁を誘うし、
さつま揚げも、むっちりとして魚の旨味がしみじみと広がる逸品。あまりの美味しさに、お代わりをしてしまった。
〆にもらったのが「盆汁」。これも郷土料理で、お盆の時期だけに作られる味噌汁だ。七つの具が入るから、「七色汁」とも呼ばれるもので、それぞれの家によって、具は異なる。実家では、茄子と枝豆が人気で必須。「働かざるもの食うべからず」で、食べたい人は、枝豆を向く手伝いをさせられたのが懐かしい。
一月家の盆汁は、茄子、冬瓜、南蛮、油揚げ、里芋、干瓢、南瓜。自分が訪ねた8月下旬には壁に貼られた料理の札にあったが、やはりいつもあるものではないらしい。〆にもふさわしく、もし見かけたら、ぜひ、頼んで貰いたい一品だ。
カウンターも、入れ込み用のテーブルも小上がりも、どこも一杯。小さいお子様連れもあれば、外国からの客人の姿もあるが、皆、にこやかで和やか。これも、ぬくぬくと湯どうふに似た空気感のせいかもしれない。そうそう、壁の品書きには金額が一切書いてないが、心配はご無用。
【お店情報】
一月家 三重県伊勢市曽祢2-4-4 地図
| 固定リンク
コメント
うわ~懐かしいですね~!
実は、同級生のお家なんです!(歳がバレますね)
子供の頃、遊びに行った記憶が!
でも大人になってからは、飲みに行った事ないんですよ、、、
投稿: どんぐり | 2014年10月28日 01:25
●どんぐりさん
うそー、マジですか??!! すごーい!!カッコいい!(謎)
私もそうですが、一端家を出ると、中々実家の周りで飲みませんよねぇ…
投稿: のむのむ | 2014年10月28日 08:01