日本橋よし町 天津丼 (銀座)
ずっと来たかったんだ。場所と営業時間が微妙に合わず、やや無理やりに時間を作ってやって来た。銀座にあれど、店の名は「日本橋よし町」。この店の店名の由来の詳細については割愛するが、かつて日本橋は芳町にあった「大勝軒総本店」の味を引き継いできた店と云う。
ここへ来たかった理由というのが、芙蓉蟹(1,800円)。けれどもランチには高級で、しかも一人にはちょっと不向き。それで、同じ蟹玉が乗る天津丼をお願いする(1,400円)。
暫く待って届いた丼には、恭しく乗った黄色い丘に品の良さそうな餡がかかる。それにしても、焼き目は目立たないものの、焼けた玉子の芳しいこと。
その美しさに申し訳ないと思いつつも、徐にスプーンを入れると、中から太い蟹の身が現れる。聞いたとおりに、立派な蟹が、それこそどこを掬っても必ず蟹が入るくらいに、だ。玉子には、蟹から溢れる旨味と塩気。そして、餡に酸味はなく、上質の鶏ガラスープを下地とする見事な餡。これが玉子や蟹、時々シャクっと当たる筍とご飯を巧くまとめて、天津丼とはこういうものかと思い知る。品の良い中に生姜の風味が効いたスープも、また素晴らしい。
慌ててやって来たのは、今月一杯で店を閉めるという話を聞いたからだ。けれども、店の案内によれば、「日本橋よし町」は6月いっぱい。7月中旬から別の名の店になるらしい。味は継承するが、メニューは恐らく変わるとのこと。閉店を聞いて、「どうしても食べて貰いたくて」と、お母様を連れてきたというファンの方が居らっしゃったりして、惜しむ声が多いのも想像に容易い。
【お店情報】
日本橋よし町 銀座8-4-21 保坂ビルB1 地図
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