ぐらんま (高円寺)
ルック通りを新高円寺駅から高円寺方向へ歩いたところで、日本酒やら酒肴がかかれた小さい看板を見つけた。家庭的な料理と300円~という気軽な値段に、これはいいなぁと思ったところ、更に素敵だったのが、その看板の主の立地。路地というよりも、建物と建物の間のような細い小路の奥にあるらしい。いいなぁ、これは、ワクワクする。
路地の奥にある店を覗いてみれば、カウンター8席ほどの小体な店。カジュアルな明るい印象の店だが、その明るさは、店を切り盛りする女将さんが醸す雰囲気もあるのだろう。目の前のカウンターには、煮物やお浸しなどの大皿が並んでいて、これも好いし、あれも好いし――なんて悩んでいると、「2つお通しとして出しますよ」と女将さん。そんなお通しは、或る日は、鶏団子と大根の煮物と、小松菜の煮浸し。
また別の日には、玉子とブロッコリー、海老のサラダに、蕗の煮物。2種類盛り合わせというのが嬉しいし、しかも、野菜が豊富。そして、いずれも優しい味付けで野菜が美味しい。
それならと、菜の花のお浸しを貰ったところ、シャクシャクとした歯触りに、出汁も旨い。そう、食べ飽きない、体に馴染む美味しさ。
大皿料理だけでなく、他にも日替わりでメニューが色々。4月に入ったばかりの頃には、名残りの牡蠣があって、天ぷらにして貰う。大きい粒のものもあってウシシシとニヤけていたら、添えてくれた椎茸の天麩羅も肉厚で旨いこと。
先日は、山菜の天麩羅を盛り合わせに。タラの芽に、大好物のこしあぶら。頬張ると、春の香りが口いっぱい。先の牡蠣もこの山菜も、500円(しかも店の最高値)というんだから堪らない。
ある日には、大好物のしめ鯖があるのを見つけて、お願いしたらば、身厚で甘い脂がたっぷり。でも、家庭的で。肩の荷を下ろした気分で、ついつい酒もすすむというもの。家庭料理と名乗る店には珍しく、日本酒の種類もあって、常時10種類弱。
ついつい酒に合う料理ばかりを選んでしまっているが、煮込みハンバーグや海老フライ、チキン南蛮なんていうメニューもあって、飲むのではなく、ご飯を食べにというご常連さんも。家庭料理というが、家庭の料理でなく、あくまで家庭的で、飽きることのない素朴で優しい料理。そんな頃合いの良さが、ついつい店へ足を向けるのだ。
ぐらんま 高円寺南2-20-15 地図
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