泰明庵 せりそば (銀座)
そろそろ「せりそば」が始まっている頃じゃないかと、泰明庵。ガラリと戸を開けると、ちらほらと客が見えるのみ。しかも女将さんまでいない。珍しいこともあるもんだと、ずらりと短冊が並ぶ壁を見遣る。
「せりそば、せりそば……」あれ? まだ早かったか。夏の仕舞いにと冷たいそばでも頼もうと思ったその時、そば用の短冊の半分くらいの大きさの小さい紙に、「せりそば/うどん」「せり肉/かしわ」と書いて貼ってあるのが目に入った。値段もなく、急拵えで作ったのかと思える感じで、もしかして、今日からなのかと想像したりする。
「おまたせしました~」と運ばれてきた途端に、鼻腔を擽る芹の香り。あゝ、この季節がやって来たんだと思うと共に、まだ若く軽やかな香りや細い茎に秋を思う。これから寒くなるにつけ、太く香りが強くなっていくと思うと、楽しみで仕方がない。
12時を少し過ぎると、続々と客がやって来て、やはりいつもと同じ景色に。ご常連さんが遅れてやってきた女将さんに「今日は休みかと思ったよ」なんて声をかけていて和む。こんな景色も好きだ。
【お店情報】
泰明庵 銀座6-3-14 地図
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