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2018年4月15日

牧野 (稲荷町)

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年末の出勤最終日は、毎年、今年もお疲れ様会と称して、旨いものを食べに行くのが恒例だ。フレンチ、その後日本料理店が続いていたが、今年は鍋なんてどうだ?という話になった。この時期なら、あんこう鍋?そうだ、河豚だ。


もう予約をするには遅いかも――と思ったが、とりあえずと電話を入れたのが牧野。「焼ふぐ」の元祖としても知られるふぐ料理店。カウンターならと云われたが、むしろ特等席。ご主人と女将さんの下町らしい接客で、程よくいじって貰いながら、うまい河豚というのは最高だ。

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まずは、煮こごり。この透明感あふれる煮凝りは、ふぐの皮だけで作っているそう。燗酒で口内の温度を高めて、そこへ煮凝りを入れると、ほどける程にとろとろ広がる旨み。混じり気のない品の良さに感じ入る。

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続いては、下関ふぐ刺。この美しい菊盛は、一人一皿。淡白な味ではなくしっかりと旨味仕様で、正直に云えば、これまでふぐ刺しに余り興味がなかったが、勿体無いことをしたと思った。

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看板の一つの焼きふぐ。刺身でも食べられる河豚の身を、片面だけを焼いて。骨付きのアラは両面に軽く焦げ目がつくくらい。仲居さんの鮮やかなお手本を見習って、炙って、橙酢とたっぷりの大根おろしをつけてパクリ。ぷりっと締まって弾力が増して、それに香り。骨までしゃぶり倒したいくらいだ。

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続いては、から揚げ。ふぐ料理で好きな料理といえば、から揚げはその一つだ。こちらのふぐは橙酢で味付けし揚げているそう。熱々を齧り付けば、薄衣で食感のいい衣の下から、しっとりとして淡白ながら上質な旨味とほのかな柑橘の香りが口いっぱいに行き渡る。うむ、やっぱり、から揚げが好きだ。

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カウンター席の楽しいところは、料理が出来上がっていく様を、その場で見ていられること。そう、目の前にあって、ずっと気になっていたのだ、ふぐの白子が。つるつるぷくぷくの白子は、それはもう立派だが、年が明けると、もっと大きくなるそうだ。それをじんわりと焼き上げたその姿は、こんなにも麗しい。弾け溢れそうなところを、すするように口を持っていけば、とろりと官能的な白子が舌に絡み、口内を蹂躙する。

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さて、真打の登場だ。最近は、昔は賄いだった違うお鍋が人気のようだが、今日はふぐ尽くし、ふぐ鍋だ。「少し多く盛っといたから」と茶目っ気たっぷりに、皿を出してくれたご主人に、「ありがとうございます」とお礼を言って受け取れば、後は目と気持ちを鍋に向けるだけ。

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時間が経つほどに、鍋の中の出汁の色がどんどん色付いていくのは、このふぐの旨味が染み出しているのだろう。普段、〆ることなんてないが、ここはやはり雑炊で〆ないと。しかも、この時期は、いくらを好きなだけどうぞという大サービス。

上質な料理と気取らなさ、それに活気が心地いい。気の置けない人と1年頑張ってよかったと称え笑い合い、旨いものを食らう。それには、こんな店がとても好い。

【お店情報】

ふぐ 牧野 台東区松が谷3-8-1 地図

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