燗酒屋 (阿佐ヶ谷)
夏こそ燗酒。
レモンサワーが好きだが、燗酒も好きだ。仕事終わりに酒場に立ち寄ると、大抵、レモンサワーからの燗酒だ。そういう時、伺う店の一つがここ、燗酒屋。クーラーではなく、開け放った窓から入る風、チリンチリンと揺れる風鈴。そこへ温い燗と旨い肴。この時間が堪らなく好きだ。
肴は季節のものを中心に。或る日は、モロヘイヤと長芋の小鉢を肴に。ネバネバ野菜に茗荷の爽快感が、好い感じに夏っぽい。
また或る日の肴は、栄螺。貝類は大好きだが、栄螺は格別に好きだ。刺身にも出来たけれども、より好きなつぼ焼きを。そうしたら、こんな立派な栄螺が登場。しかも奥底に想像よりも綺麗で立派な肝があって、もう燗酒が止まらない。
ここでは、刺身を貰うことも屡々。この日は、真鯛の昆布〆が売切れだったけれども、代えてお願いした真子鰈が素晴らしかった。噛むほどに、甘みと上品な脂がじんわりと滲んでグッとくる。別に湯引きにしてもらった皮も好い肴。
また或る日は、好物の青魚と鰯の酢〆。艶やかさとキリリとした塩梅が不思議と溶けあって素敵。そこへ酒をグビリ。乗った脂がサラリと消えて、もう一口、もう一口と誘われる。
先程の鰯の骨は、その後せんべいに。わざと程良く身が残してあって、旨さ倍増。サクサクポリポリ。せんべいを摘まんだ指も舐めたくなる美味しさにニンマリとする。
夏の焼き魚なら、太刀魚の塩焼きが好きだ。自らの持つ染み出た脂で芳ばしく焼けた皮と、柔らかくとろけるような甘みのある身。香りも佳くて、夏の塩焼きの王様だと思う。
これも夏の愉しみのジュンサイと温泉玉子の冷椀。冷たい出汁には、素麺も入って、喉から胃からつるつるヒンヤリ。夏の肴。
暑いからと冷たいものをゴクゴクというのも旨いが、ゆっくりと温かい酒を呑むのも、体に優しく好いもんだ。夏こそ燗酒。
【お店情報】
燗酒屋 阿佐谷北2-3-4 地図
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