らせん屋 (阿佐ヶ谷)
夜にも昼にも、食事をするにも飲むにも、使いが良くて感じが好い店。
休日は、昼から呑む。けれども、食事としての側面も大事。中央線界隈で、そういう観点でランチメニューを眺める中で、気になっていたのが、らせん屋だ。阿佐ヶ谷のスターロードを抜けて、住宅街へ入る入口辺り。ランチメニューに羊があるし、ワインも。気にならずには居られない。
ある日の昼に伺ったところ、テーブルには、ランチメニューの他にグランドメニューにワインリスト。グランドメニューからもお願いできるんだ。まずは、ワインと前菜を。定番の前菜のほか、店の黒板に書かれている「今月のおすすめ」なんてのもあってそそられる。一つは、好物の鯖のリエット。しっとりとして気取りがないのに、品が好い。
牛ホルモンのトマト煮込みなら、トマトソースのフレッシュさと引き際の軽やかさが印象的。そう、しっかりと旨みがあるのに、とても綺麗。
特に素晴らしかったのは、ムール貝の白ワイン煮。先ずは、このスープ。色味からして、どう考えても旨いでしょう。口にしてみると、香りも旨みも十分。そこにレモンの爽やかさもあって、スープだけでも十分なツマミ。噛み締めて旨みが沁み出る身も、勿論好い肴。
メイン料理には、羊料理を。メンチカツにハンバーグ、ロールキャベツに生姜焼き、串焼きなどと、先ず、種類の多さが魅力的。一番の名物というメンチカツレツは、ナイフを入れると芳しい羊の香りが立ち上がるから堪らない。頬張れば、香草パン粉のサクサク感の小気味よさと、嚙みしめるほどの染み出る羊の旨み。自家製というデミグラスソーも好い。スこれが普通にランチメニューにもあるというのが頼もしい。
ロールキャベツにも羊肉。キャベツの甘みやトマトの旨みに、クミンを上手く使った風味豊かな一品。ハンバーグ(マッシュポテトに添えられた牛蒡の香りや食感の素晴らしさ!)もそうだが、メインではなく、周りで添う素材の使い方がとても好きだ。
それに、ワインの揃えが好いのも素敵だ。下井草で「らせん屋」を営んでいるお父さんに憧れ料理人になり、家族で楽しめるレストランをとこちらを始めたそう。気取りなく、テーブルを囲むみんなで美味しいという印象があるのも、そのせいだろう。食後のお楽しみとして、小さなルマンドがふるまわれるのも、その辺りが良く表れていて好感。
【お店情報】
西洋食堂 らせん屋 阿佐ヶ谷店 阿佐谷北2-5-10 地図
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