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2019年6月30日

水無月 (幡ヶ谷)

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週の頭。早く帰れそうな日があれば、この店が頭を擡げる。この店とは、幡ヶ谷にある水無月だ。かつて高円寺にあった人気店で店長を務めていた中山さんが独立して開店した店。彼女が作る料理が殊の外好きで、帰宅する路線を使って、いそいそとやって来る。

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先ず以って、この佇まいが好きだ。清潔で整然として、落ち着いていて、でも気軽で。最初は必ずレモンサワー。炭酸強めのドライ系。そしてこの景色の素晴らしさ。

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お通しから気が利いているのも好い。先日は揚げ立てのサゴシの天ぷら。その熱量と立ち上る香りに喉がゴクリと鳴る。頬張ると、サクッと軽い衣の後から、ふわりほわり。味わいや香りが残っているところに、サワーをぐびり。ふぅ~、今日も倖せだ。

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彼女の料理で好きなものの一つがしめ鯖だ。暑い時期には品書きに上らないことも多いが、この日は見つけて、即お願い。好みの生やかで艶っぽい〆具合が好きなんだ。

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一方で、盛り合わせも好い。尾長鯛にホウボウ、平目にイサキ、そしてたこぶつ。一人前に程好い量と麗しさ。

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もう一つ好きなところは、白和えや卯の花がいつもあること。最近は、もう一味面白味が増していて、ある冬の日は、サワークリーム和えの金柑と蓮根。素材の瑞々しさとコク味とサワークリームの酸味。ついついお燗が欲しくなる。

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また先日には、浅利とひじきの卯の花。浅利の旨味や潮の香りがたっぷりとおからに染みた上に、定番の干し海老の風味がふわりとして風味豊か。これには、やっぱり酒なのだ。

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谷中生姜の豚肉巻き焼きも、この時期ならではの酒に寄り添う好い肴。肉の脂と谷中生姜の爽やかさと瑞々しさ。そして、ピリリとした辛味。そこを締めてくれる香ばしさやタレの甘さ。贅沢なものではなく、旬の旨いものを使った豊かな味わい。そして頃合いの好い酒があれば、他に何もいらないのだ。

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そして、私も酒飲みだからと肴の値段が手頃なのも好きなところ。一人前に程好く、「もう少し何か」も叶えてくれる。自分のもう少しは、ゆで卵の塩麴付け。仄かな発酵香と塩味、そして黄身は八分熟。これは150円。だからついつい。

すっかり地元に溶け込んで、ご常連さんが沢山いらっしゃる様子がとても嬉しい。幡ヶ谷から中野や阿佐ヶ谷までバスで帰ることができるというのも、有難いところ。季節が変わる前にまた必ずや。

【お店情報】
酒とつまみ 水無月 渋谷区幡ヶ谷2-8-5 近藤ビル2F 地図

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