しまや (弘前)
昨年の青森の旅では、伺うことができなかったしまや。今年は、以前と同じように暖簾がかかり、引き戸を開けると、いつもの場所におかあさんの姿。「あら、いらっしゃい」と変わらぬ様子で迎えてくれた。
いつもお会いするご常連さんがいらっしゃるかと思いきや、平日ということもあって、それほど混みあってもなく、のんびりとした雰囲気。そうそう、こんな風に、親戚の家に上がり込んで、気持ちよく迎えてもらったみたいな感じも好きだ。
カウンターには、その日のおかずがズラリと並んでいて、そこから、コレとコレなんて選ぶ。端から端までお願いしたって、大した値段にはならないが、どれも美味しそうで、ついつい悩む。茗荷と味噌に、白滝と椎茸、油揚げ。地元の食事処として生まれた店らしいラインアップ。
おかあさんの座っている奥には、黒板があって、そこにはその日の品書きが書かれている。そこから、鮪にホタテの刺身。ホタテは、すぐそこに名漁場があるし、鮪にしてもそう。大間と漁場は同じ、お隣の三厩で揚がった鮪だったりするのだ。
と云いながら、そういう立派なものよりも、やはり地元の方が通う所以の料理が好きだ。なめこをお願いしたら、「最近モロヘイヤにハマっててね」なんて笑いながら、お浸しも出てくるという感じ。近くに住んでいたら、通っていること間違いなし。
から揚げなんかもあって、豊盃をグビリとやるのも好い。家の食卓に近いが、それとは少し違うところが大好きだ。
例えば、これ食べてってと出てきたのは、インゲンの炒め物。これは何気なく見えるけれども、インゲンの切り方がとても特徴的らしい(弘前とイギリスのどこかにしかないというようなことらしいが)。そんな御託はさておいて、キッパリとした切り口と、シャクシャクとした食感、噛むほどにジワリと水気が滲むような瑞々しさ。素朴が、オッと思わせるところがそこここに。
煌びやかなものや、観光的に分かりやすい目印のあるものでもなく、郷土に根付いた日常の延長にある店。それこそがここの味。長年伺っている間に、随分と津軽弁も理解できて来たような気がしている(3割程度)。
【お店情報】
しまや 弘前市元大工町31-1 地図
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