燗酒屋 (阿佐ヶ谷)

緊急事態宣言が発令され、暫くは休業していた燗酒屋。ある日買物ついでに、飲み屋街スターロードを歩いていると、テイクアウトの営業も始めたことを知る。

家庭的で、しかも、プロらしい仕事ぶり。それと季節感を大事にしているのが、ここの肴の特徴だろう。秋から冬の間には、好物の牡蠣をいろんな料理で頂いた。カキフライはもちろんのこと、

ぷっくりと成長した牡蠣の旨味に山椒のアクセントが旨い牡蠣の山椒煮や、小鍋立てにしたものもあったなぁ。肴で温まり、そして燗酒で温まり。

春先には、はまぐりの酒蒸しや、ホタルイカのぬたとか。酒蒸しなら、運ばれてきた途端に襲われた生海苔の香りに、先ずノックアウト。しっとりと大振りな蛤に、独活の触感と香り。春満開だ。

夏の或る日には、鱧の煮凝りがお通しで。ぷるぷると見た目にも涼し気。暑いからレモンサワー(ドライで旨い)をもう一杯とも思ったが、燗酒で口を温めて、煮凝りがとろりと溶けていくのを愉しみたいと即燗酒に切り替えて。

寒くなってくると、時々お目にかかるのが茶碗蒸しだ。茶碗蒸し自体が好物だが、ここのは旨い出汁で作ったたっぷりふるふるの茶わん蒸し。具もたっぷりで、お腹から温まること請け合いだ。

そうそう、その時期ならば、脂が載って来た鯖の〆鯖も好い肴。身と脂の溶ける様が艶めかしく、後々までも残る香りと旨み。そこへ燗酒をつるり。他には何もいらない。

こんな肴を5種類盛り込んだのが、テイクアウトの一つ。5種類で600円というから、二人前でお願いしたら、玉子に、牛肉のすき煮、お浸し、マカロニサラダ等々、8種類ほどの盛り合わせ。量的に二人前の料理もあれば、一人前のものもあるから、種類が多くなるように入れて下さったのだろう。女将らしい心配り。これだけの種類の肴を自分で揃えるのは大変だから、本当にありがたい。収束したら、また、あのカウンターで合いましょう。
【お店情報】
燗酒屋 阿佐谷北2-3-3 地図
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