小満津 （高円寺）

ここ数年、鰻を口にしていないが、鰻が大好きな人から、すごく美味しい鰻があって、シェアできるコースもあるし、日本酒もあるから、一緒に行かないかという誘い。口が合う人からの誘い、乗っておいて間違いないやつ。

店は、東高円寺にある小満津。自分でも名前だけは聞いている名店だ。完全予約制で、品書きはあるが、コースの内容など、色々な要望に応じてくれるそう。この日は、多めの一人前を二人で取り分けるシェアコースのうな重だけを1.5人前にして貰う。

先ずは、ビールで喉を潤して、最初のお通し三点盛り。鰻の身と肝の佃煮、塩トマト、青菜のお浸し。それにしても肝の見事なこと。小さな部分までピンとして立派。

続いてうまき。玉子好きとして、とても楽しみにしていたものだ。届いたものを見て驚いた。先ずこの大きさ！思わずニッコリ。心して口にすると、上品で出汁をたっぷりと抱いているようにしっとりふわふわ。そして、温かさが心地いい。鰻の存在感もあって、一切れと云わず、もっと食べたい。

コース以外から、鰻の串が幾つか。食事の前に、「今日はこれがご用意できます」と事前に見せて下さって、そこでお願いしたものが届く。肝焼きに中落、腎臓、脾臓、ひれ。佃煮同様、素材が立派なことは勿論、細やかな手仕事を犇々と。

そして、白焼き。焼き目が淡く、見た目にも麗しいこと。口にすると、ふんわりとしてとろけるよう。口から鰻がなくなると残る香りと上質の旨味が印象的。ゆったりと酒を飲みながら、これが味わえる倖せと云ったら。

そしてうざく。炙った鰻の香りと旨味に、程よい酸味と薄切りの胡瓜の食感がいいアクセント。

さて、今日の大一番のうな重が届く。「これ古い重箱なんですよ。今このサイズでお出しすることがなくて。」と云う女将さん。恭しく蓋を開けると、つやつやとした鰻が重箱の隅々まで敷き詰められて、心躍る。キレのあるタレ、鰻とご飯のバランスがとてもいい塩梅。久しぶりの鰻に大満足。

酒と旨い鰻でゆったりと過ごす贅沢な休日。旅に行けないこのご時勢。こういう過ごし方も好いかもしれない。

【お店情報】
小満津　杉並区和田3-62-3　地図