オーベルジュ・アンドラ・モンターニュ (南魚沼)

雪の夜には、紅い光が温かい。
年末の大雪を避けて、恒例のアンドラ・モンターニュ。ベランダにまで届きそうな積雪は久しぶりだ。ここに来れば、本当に食い飲み、眠る幸せを感じるだけ。今回も、或る日の夜のメニューをご紹介。

アミューズは、オーストリアのチーズオードブル、リプタウアー。羊乳のチーズにパプリカ、玉葱などを混ぜたもの。軽くてほんのりとハーブが香って食欲を誘ういいスターター。上にはかぼちゃのラタトゥイユ。野菜が瑞々しくて、味わいと彩りに色を添えて。

続いては、冬のお愉しみ、広島は地御前の健牡蠣。この日は、久しぶりの牡蠣と苺の焦がし焼きサラダ。牡蠣のミルキーさと苺の甘い酸味がうまくかみ合った一品。甘い苺ではなく、酸味があることがポイント。焦がした香りもいいアクセント。

次は、エゾ鹿のリエット。口にすると凝縮された旨味がグッと躍動。下に添えられた鳴門金時の滑らかな食感と強い甘さとも好相性。まさに山の幸。

鮮やかな萌黄色が目を惹くブロッコリーの冷製スープ。ブロッコリーの美味しさと良い香りだけを抽出したようなふくよかさと透明感が両立しているところが素敵。口いっぱいに広がる香りを逃したくなくて、無駄に口を開けたくないくらいだ。

3.8kgの真鯛を使ったシュニッツェル。おそらく、前日のサラダで出された真鯛が姿を変えてやって来たもの。サクサクの軽い衣の中から、しっとりふっかりとした仄甘い身が登場。こういうオーストリア料理を活かした熊シェフならではのアレンジが、ここに来る愉しみの一つだ。

続いては、久しぶりのフォアグラサンド。ソテーしたフォアグラとその食感に添うように柔らかい大根の好い仕事ぶり。記憶にあるものよりも端正で、定番的な料理でも、今でも色々考えられているんだろうなぁと、グッとくる。

メイン料理は、エゾ鹿内もも肉のウィーン風煮込み“マトローゼン”。確か、以前はロバの肉で頂いたはず。肉の旨味と野菜の旨味がこっくりと。中々出会うことのない外国の地元料理を味わえるのも好きなところ。

最近は、米料理がここで出てくるように。そして、最近の恒例おむすび。そもそもの米の味、やわらかめの炊き加減、それを絶妙にむすぶ力加減、それに海苔の香り。食べてみると、やわらかいだけではない、ふっくらとした広がりと粘り。おにぎり好きだが、これはちょっと格別。

食後には、丹波栗のガトーとハーブティーを。じんわりと伝わる甘さ。ワインはもうすっかりおまかせ。久しぶりに、地階のセラーに伺って、あれやこれや見せて頂いたり。ちなみに、一皿ごとに合うワインを出してくれるマリアージュプランなどもあり。

朝食は、自家製のヨーグルトに果物、すこぶる元気な野菜サラダ、スープに、玉子料理と自家製のベーコンやハム。素材の力強さに負けそうなほどだが、夜にあれだけ飲んで食べたのに、お腹が空いて目覚めてしまうから、朝もペロリ。至福をたらふく。もう、ここがない人生は考えられない。
【お店情報】
AUBERUGE-ANDRA-MONTAGNE 新潟県南魚沼市宮野下1191-1 地図
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