時ト紡 (阿佐ヶ谷)
コロナ渦の中、青梅街道沿いにオープンした店。すっきりとした外観や、店のInstagramから感じるやわらかい雰囲気が気になっていたところ。落ち着いて来たから、満を持してお伺い。
北海道ご出身の店主が、北海道や旬の食材を使った料理が並ぶ店。日常の料理に、ひと手間加えた料理というのがコンセプト。一人仕事帰りに、ほっと息をつくのに好い。
お通しは、すりながしやスープ的なものと、小さな料理との組み合わせ。初めて伺った時は、南瓜のすり流しと金平。南京の甘さだけではなく、皮も感じられる風味と、おぼろ昆布が添えられているところがツボ。
料理は、お一人で切り盛りされていることもあり、種類は多くはないが、野菜を中心とした酒葉に、小さなおつまみ。定食セットにも出来る魚や肉の料理と3つのカテゴリーに、それぞれ4~5種類ほど。玉子を見ると、ついつい頂きたくなって、ゆでたまごのアチャールをお願いすると、漬け汁とスパイスの調合がバツグン。昼テイクアウト限定で出しているスープカレーも絶対に旨そうだ。
野菜の肴で好きなのが白和え。自分でも作るが、店で見つけるとついついお願いしてしまうもの。この日は、ルッコラと洋梨の白和えがあって、お願いしたら、やわらかな口当たりの中に、帆立のヒモを見つけてニヤリ。
別の日に頂いたのは、紫大根のマリネ。さっぱりしたものかと思いきや、生ハムと鰹節を和えたものを従えて、旨味もたっぷりの好い肴。こういう仕立ての面白さ。
しっかりした料理の中で、最初に気になったのが、白菜包みの焼売。好きなんだ、酒場の焼売って個性的で。特に、野菜包みの焼売には、とても興味があって、それで。焼売は、蒸し立てで「少し覚ましてから、ガブッと」というおすすめと案内。その通りに従うと、噛むほどに、餡から白菜から旨い汁が口いっぱい。じゅわじゅわとして、そこへお酒。旨味の三重奏。
最近伺った時には、大根のアラ煮を。感じるのは、素材を活かそうとする丁寧な仕事ぶり。基本的に、一皿は一人前の仕様。旨味がたっぷりと染みた大根にアラもたっぷりとあって、しっかりと食べられるのも、定食としての在り方を想定しているからだろう。
居酒屋使いの方はもちろん、軽く一杯や、夕食にと訪れる方もいらっしゃる。何より、小さい店だからことこその、気配りや落ち着いた雰囲気がとても好い。季節によって、違う料理が頂けると思うと、これからが愉しみで仕方ない。近くのこういう落ち着ける店のある幸せよ。
【お店情報】
時ト紡 阿佐谷南3-8-1 地図
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