フォンテーヌ 玉子サンド (神楽坂)

オムレツでもなく、ゆで玉子でもなく、厚焼き玉子でもなく。
久しぶりに玉子サンドを求めて、電車に乗る。向かったのは神楽坂。開店は自分が生まれる前だと聞くが、確かにかなり年が付いている。東京メトロの神楽坂駅から徒歩30秒又は、入口によっては1分ほど。そう、店には入口が2つあって、店は地下というのも興味を惹く。

階段を下りていくと、想像以上に昭和の、しかも素朴な店内。カウンターの向こうにいらっしゃっるご主人が、にっこりと迎えてくれる。先客はなかったが、一人だし、小さいテーブルに着こうとすると、「明るい大きい席をどうぞ」と。さりげない優しさが気持ちを和ませてくれる。
お願いしたのは、玉子サンドとセットのコーヒー。お願いすると、カウンターの向こうから、シャカシャカシャカ、ジュワーッと玉子を焼いているのが伝わって来る。食べる前のこの瞬間も、もうご馳走。コーヒーをセットしたり、パンを準備したりしているところを眺めていると、あっという間にサンドイッチが届く。

そう、ここの玉子サンドの玉子は、スクランブル状なのだ。どの玉子サンドも好きだが、思い入れが強いのは、スクランブルの玉子サンドだ。子供の頃、実家でよく食べた玉子サンドがスクランブルエッグだったから。あまり料理をするのが好きではなかった母(でも、美味しいものは好き)が、玉子を茹でるよりも、キチンとオムレツや玉子焼きを作るよりも、時短で美味しいと作っていたものだ。
今となって思えば、これが温かい玉子サンドが好きになるきっかけになったのだと思う。フォンテーヌの玉子サンドも、焼き立てで、玉子の焼けた香りと、手から伝わる温かさに頬が緩む。余計はものはなく、とてもシンプル。そして、パンと玉子のバランスと、手に取っての食べやすさ。こういうこと。
会計をすると、クラシックなレジスターが迎えてくれる。「美味しかった?よかったこれ、持って行って」と飴をくれるサービス満点のお父さんが、一番のおもてなし。平日のランチタイムには定食もあるそうで、愛してやまないご常連さんがいらっしゃる様子。どうぞ長く続けて下さい。
【お店情報】
フォンテーヌ 神楽坂6-37 山田ビル B1F 地図
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