米平 (青森)
昨年訪ねて、すっかりファンになった米平。お父さんのおでんやとんかつに、息子さんの日本料理と豊富な酒が魅力の店。青森市の中心街からは少し離れたところにあるが、散歩をしながら店へ向かう時間もまた楽しい。
暖簾をくぐると、既に先客がいらっしゃって、お父さんやお母さんとニコヤカに盛り上がっている。かなり先輩のご夫婦と思うが、ペロリととんかつやフライを召し上がっている。お元気だし、ここのフライなら然もありなん。一方で、息子さんはどうしたのだろうと思っていると、今日はお休みなんだそうだ。残念だけれど、それならお父さんの、おでんとフライを存分に。
ということで、先ずはおまかせでおでんの盛り合わせ。大根にはんぺん、豆腐、こんにゃくやごぼう天、牛すじなど。目を引くのが、やわらかく旨味豊かなつぶ貝や、シャクッと歯切れの良い美味しい蕨。そして、前回驚いた美しい出汁も健在。透明感のある、醤油らしい色味が極薄い綺麗な出汁で、旨味も見た目通りに雑味なく、でも十分に。大根なら、一口食べると、ジュワーと出汁が染み出して、美味しさが口いっぱい。そうそうこの感じ。
この出汁感を満喫するなら車麩じゃないだろうかと、車麩に、美味しかったつぶ貝と好物の玉子を追加して。ひたひたとたっぷり出汁を吸った車麩を口にすると、むっちりとろとろで、噛むと出汁がジュルジュルリ。はぁ、堪らない。
そして、やっぱりフライを。ロースとんかつにヒレかつ、帆立や海老、ミックスフライ。さてどうしよう。海鮮ものを一つと、とんかつから一つ。それなら、やっぱり好物の帆立フライに、ロースかつを貰おう。注文が入ってから、肉や帆立を切って、衣をつけて揚げていく。しかもその仕事ぶりは、とても繊細で丁寧。端々にまで行き届く仕上がりの素晴らしさを見れば、言うことはなし。帆立ならば、揚げ加減と衣の美味しさ。
それに、ロースとんかつ。軽い衣に、しっとりと柔らかい肉。噛みしめるとじわじわと広がる脂の旨味。はぁ、とんかつってこんなに旨いんだ。これまでとんかつにあまり縁のない人生だったことが悔しいくらいに。
酒も、青森を中心として全国の地酒が揃い、その種類の豊富さにも改めて驚かされる。お父さんとお母さんには、長く続けていただきたいし、今度は息子さんの料理もいただきたい。だから来年も、またここに。
【お店情報】
米平 青森市中央4-9-6 地図
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