オーベルジュ・アンドラ・モンターニュ (南魚沼)
昨年末は、毎年恒例のアンドラ・モンターニュ。一昨年は大雪だったけれど、昨年末は、雪が残っているものの温かくて春先のような陽気。こんなのは15年間で初めてだ。
初めてはこれだけで終わらず、2泊した中の1泊は、客は自分たちだけの貸し切り状態。それを面白がるのが熊シェフで、久しぶりにセラーを見せて頂いて、選んだワインに合わせて料理をしようというサプライズ。今回は、そんな遊び心、挑戦心のある料理をご紹介。
アミューズは、健牡蠣のカナッペ。牡蠣と黒パンの間にバターが敷いてあって、最初は、生牡蠣とパンと少しの塩気という感じだけれども、噛むほどにバターが温かくほどけて牡蠣とパンと混じって、旨味がグッと引き上がる。そこへシャンパン。初っ端なら、口の中が芳醇な旨味と香りで満たされる。
続いては、妻有ポークのリエット。何度かここでいただいたことがあるが、じゃが芋のガレットとの組み合わせは初めて。サクサク、ほくほく、そして香ばしさのあるガレットに、肌理細やかでやわらかく溶けるリエットが、シンプルだけれどやみつきになる美味しさ。
リングイネだけじゃなく、パスタ自体初めてだと思っていたら、「ここが出来て3回目くらいじゃないかしら」とマダム。キャベツとリングイネだけだが、キャベツの甘さや焼き目の香ばしさ、油の風味などで味わい豊か。
真鯛のムニエルと聞いていたけれど、この手前の揚げてあるのは何?と思っていると、調理前のものを見せてくれた。正体は、20cmほどもありそうな立派な法蓮草の根っこ。食べてみると、芹の根っこと同じようなシャクシャクした食感と、たしかに法蓮草の香りと味。
レンズ豆のポタージュに、ここで出会って大好きになったパンプキンシードオイルをかけたもの。甘く香ばしい香りとコク、さらりとした食後感がとても好み。
定番のフォアグラメニューも、目新しい料理で登場。フォアグラのムースを包んでいるのは、ハナナのスライス。フォアグラに甘さは合うが、くちどけの同調感が心地いい。濃厚な味わいの中に、自家製の鬼胡桃のジャムが、やわらかくニュアンスを出してくれるところにうっとりする。ジャムは、青い鬼胡桃を採るところからご自身でやったそう。採るところ、煮るところなどの写真を見せてもらいながらのおしゃべりも、ご馳走の一つ。
メイン料理は仔鴨のロティ。肉の美味しさを是非味わってほしいと、ソースはなく塩味だけ。口に運ぶと繊細で滑らかな舌触りと、噛むほどに、じわりと溢れるジューシーで濃い旨味。確かに、この美味しさは、ソースがないからこそ。
大好きなおむすびでもシェフ何か企んでいるらしく、いつもの半分量で、いつもの美味しい海苔とこしひかりのおにぎり。相変わらずこれ好きだ…と思っていると、もう一つ小さなおむすびを作りだし、白トリュフを削りだした。もう随分とお腹も満たされているのに、その香りにお腹が空いてくる。
食後には、シューアラクレーム。薄くスライスしたルレクチェとクリームをたっぷりと挟んで。その後もお酒をいただきながら、尽きないシェフの話を聞く代えがたい夜。
久しくないくらいに食べて呑んで、お腹いっぱいになってが、翌朝目覚めると、不思議とお腹が空いている。それをまた、素晴らしい朝食が出迎えてくれるから堪らない。また次訪ねる日を楽しみにして。
【お店情報】
AUBERUGE-ANDRA-MONTAGNE 新潟県南魚沼市宮野下1191-1 地図
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