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2024年6月 9日

金澤 せつ理 (金沢)

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金沢へ向かった目的は、「金澤 せつ理」を訪ねることだった。初めて金沢を訪れたのは、2013年の冬。その時に伺った料亭「つる幸」の料理や、部屋から見える景色、女将さんとの話などは、どれも素晴らしく、この時の楽しい記憶は、一生忘れることがないと思う。

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けれども、その後つる幸は閉店。店を閉めた後、二代目のご主人が開いた店が今回の目的地、金澤せつ理だ。料亭時代とは異なり、この店はカウンター7席と4人席のテーブル1卓。店主がお一人で客の前で料理を仕上げ、提供するスタイルだ。18:30の一斉スタート。先ず、運ばれてくる日本酒で口を潤しながら、一品目の料理が出来上がっていく様子を見る楽しいもの。

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そしてやって来たのが、蛍烏賊の茶わん蒸しと、塩をあてた雲丹、空豆。茶わん蒸しに何かを乗せていると思ったら、シャーベットにした唐墨という斬新さ。混ぜると温かさと冷たさが交わるのも面白いし、シャーベットが溶けるほどに、とろけるように広がる旨味とコク味。すごい。

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続いてのズワイガニの餡かけ。筍とズワイガニ、他は何だろうと思っていると、ふぐにフォアグラを巻き込んだものだそう。昆布を敷いて蒸してあって、その香りから好きな味。餡の仄甘さと蟹の旨味に三つ葉の香りが好いアクセント。

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お椀はふぐの白子と帆立の真薯の沢煮椀。蓋を開けると、出汁と爽やかな若い青味の香りと鮮やかな青。アスパラや新玉葱、春の芽に、合わせたのは鶏ベースの和風のコンソメ。インバンドの方が増え、カウンターの8割が外国からの旅行客という日もあるそうで、鰹出汁よりもこういう味が好まれるそう。

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ここから、刺身の盛り合わせが二皿続く。先ず一皿目は白身系の盛り合わせ。好物のキジハタにキャビアを中に挟んだ烏賊。市場で見かけて食べてみたかったガスエビ。弾けるような歯ごたえと、まったりと濃い甘みと旨味。キジハタは塩を当てて3日、烏賊は2日。もっちりと旨味が増して一入。

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二皿目は、燻製した鮪と、極軽く炙ったつぶ貝。立派なつぶ貝自体も然ることながら、噛みしめて滲み出る甘みにニヤニヤするし、燻製したといっても薫りを纏っただけというような燻製加減の見事さは、この日強く印象に残った一つ。

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金沢のイメージどおり、ここまで魚介が続いたが、こちらも名産の能登牛。炙ったシャトーブリアンを味噌で食べる田楽風。添えられているのは、行者ニンニクとタラの芽のフライ。山菜のフライというのも面白いが、衣が北陸のおやつ「ビーバー」とお馴染みの「ハッピーターン」を極微に砕いたものというのも面白い。話を聞いて味わうと、確かにほんのり米菓の風味。

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のどぐろのしゃぶしゃぶは、目の前で出汁に入れて、器に装って渡してくれる。少し火が入ってとろけるような食感ののどぐろと、九条ネギや能登の原木しいたけもいい仕事ぶり。

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食事は、甘海老と舞茸の炊き込みご飯。ご飯を炊く際に甘海老の殻を入れていることもあって、甘海老の香りが豊か。そして身は、ふんだんに入っていてほぼ生で官能的。糠漬けには、キウイの糠漬けも。フレッシュさと糠漬けらしい香りが共存している面白み。

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「もう少しお腹に入るようでしたら」と、出していただいたのがカレー。能登牛のコク味はもちろんのこと、意外にスパイシーで、ペロリと完食してしまった。

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最後のデザートは、フルーツグラタン。宮崎のマンゴーに金沢の苺、台湾のパイナップル。マスカルポーネにヘーゼルナッツの風味豊かな香りが印象的。

よく食べたけれども、翌朝すっかりお腹が空いて目が覚めるというのは、いい料理の証。大将が気を配りながらも実に楽しそうで、やりたかったのはこういうことだったのかというのが腑に落ちた。

【お店情報】
金澤 せつ理 金沢市高岡町4-5 地図

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