米平 (青森)

今青森に行くなら外せない店の一つ。お父さんの代からのおでんにとんかつ、それに息子さんの日本料理と豊富な酒が魅力の店。
今年もまたやって来た。青森市の中心街からは少し離れたところにあるが、歩く途中も料理と酒が楽しみで仕方がない。訪ねたのは18時。30分ほど前に店は開店しているから、座敷もカウンターもかなりの賑わい。カウンターの中には息子さんの姿だけ。お母さんとホールを手伝っている女性がお一人いらっしゃるが、お父さんの姿が見えないのが寂しい。特に、揚げ物の注文が入ったときのお父さんの気合が入る感じが好きだ。

さて注文だ。ホテルで軽く飲んできたから、最初から日本酒を貰って、肴として馬刺しをお願い。届いたのは、この綺麗な刺身。口にすると、旨味に続いてさらりと溶ける脂の美しさ。

青森の夏の味といえば、毛豆もその一つ。鞘に産毛が生えた枝豆で、濃いコクと甘みが特長。枝豆を摘まむ指まで美味しい。

そして、お願いしていたおでんが届く。ここのおでんの特長は、出汁。透明感のある醤油らしい色味が極薄い綺麗な出汁で、旨味も十分。だからこそ、出汁をたっぷりと含んだ車麩や大根などを選びたい。一口食べると、ジュワーと出汁が染み出して、美味しさが口いっぱい。そうそうこの感じ。それに、立派な大きさでやわらかく旨味豊かなつぶ貝も忘れずに。

やっぱりこの出汁が染みた生豆腐も食べたいし、シャクシャク食感の竹の子。気になったのは、手作りのほっけのつみれ。プリッと食感の中からほっけの旨味がやわらかくじんわりと。そこへ出汁を一口。ほぉっと息をつく。

もう一つのメインのフライ。とんかつも海鮮のフライも美味しいことを知ってしまったから、どちらも選べず、今回はミックスフライを。ヒレかつに海老フライ、帆立フライの盛り合わせだ。注文が入ってから、肉や帆立を切って、衣をつけて揚げていく。揚げ加減と衣の美味しさに、付け合わせの美しさも変わらない。お父さんがいらっしゃらない寂しさと、頼もしさで胸いっぱい。
酒も、青森を中心として全国の地酒が揃い、その種類の豊富さにも改めて驚かされる。どうか来年も、この空間で良い夏を過ごせるよう。
【お店情報】
米平 青森市中央4-9-6 地図
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