泰明庵 せりそば (銀座)

あちらこちらの店から牡蠣料理が出始めたという声を聞く今日この頃。昨日までは、どこかで牡蠣フライを食っていたが、今朝の肌寒さに、温かいものが恋しくなった。牡蠣の季節ということは、せりそばの季節の到来でもある。もしなければ、カレー南蛮という手もある。
そろそろ始まっているはずと暖簾をくぐると、相席ならば入れるという状態。相席をお願いし、壁の品書きに目をやると「せりそば」の文字がある。注文すると「根っこも入れますか?」というお馴染みの問いかけ。もちろん返事は「お願いします」に決まっている。
ふと相席の方に目をやると、その方はセリカレーそば。後から来た客からも「せりかしわ」などの声が聞こえてきて、やはり待ちかねていた人が多いのだと改めて思う。
さて、せりそばが届く。丼が目の前に置かれた瞬間、ふわりと立ちのぼる芹の香り。隣のテーブルの方がこの香りが苦手だったら、少し申し訳なくなるほどの芳醇さ。丼をのぞけば、鮮やかな緑がこんもりと。先ずは根っこを摘まんで一口。シャクシャクと噛むほどに、口内や鼻腔一杯にさらに深く広がる香り。そこへ蕎麦をズズッと啜り込めば、温かい出汁の香りも相まって幸せの一杯。
帰り道、仄かに残る芹の香りと、すっかり温まった胃袋の温かさが心地よく、またにっこり。次はセリカレーにしおうか。今シーズンもお世話になります。
【お店情報】
泰明庵 銀座6-3-14 地図
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