和田金 (三重・松阪)


魚系のフライが食べたい気分。しかも洋食ではなく、白いご飯が恋しくなる和食系だ。そうなると、まず確認すべきは、宿題にしていた「すずらん」の海老フライやいわしフライ。店のXを確認してみると、残念ながら今日のフライはメンチカツ。
それなら、次に向かうべきは、日本料理の「源氏」。ランチタイムは、煮魚に焼魚、刺身に海鮮丼、そしてフライまで。魚系のランチが目移りするほど何でも揃う。源氏なら必ず目当てにありつけるはず―そう踏んで店へ向かったところ、フライもあったが「天ぷら」の文字を発見。しかも内容を見ると、今日に限っては天ぷらのほうが圧倒的に魚介が豊富。それなら方針転換。今日天ぷらに決まりだ。
店は相変わらずの活気溢れる賑わいぶり。いくつか空いていたカウンターへ滑り込むように腰を下ろす。しばらくすると、黄金色の頃もをまとった天ぷらが、大皿に美しく盛りつけられて運ばれてくる。一つの山には、すらりとう美しい海老が2本と白身魚。もう一つの山には、彩りを添える野菜が佇む。茄子と南瓜、そして「もう一つ何だろう」と口に運べば、弾けるような香りと共に現れたのは独活だ。思わぬ旬の食材との出会いに胸がときめく。
サクッと軽やかな音を立てる衣の中に、まっすぐに美しく整えられた海老は、その甘さがじんわりと口に広がる。品のよい天つゆも、素材の味を引き立てて好い。こちらで天ぷらをいただいたのは初めてだったが、いいもんだなぁ。
箸休めには、小松菜のお浸し、サラダに漬物。そしてご飯と味噌汁。この副菜の充実ぶりも、この定食の大きな魅力。店の活気も、店の方のきびきびとした働きぶりも実に気持ち良く、やはりこの店はいつ訪れても安心安定の頼もしき店。
【お店情報】
日本料理 源氏 荻窪5-23-8 地図

まだ5月だというのに、肌を刺す日差しはむしろ夏に近い。ふと、冷やし中華などの冷たい麺が恋しくなった。まず頭に浮かんだのは、駅前の中国料理店。名物の「よだれ鶏冷麺」を期待して足を運ぶも、残念ながら定休日。ならば近くの豚しゃぶサラダの店と訪ねれば、こちらはGWの振替休暇。運に見放されたかと思ったが、この界隈なら「とっておき」がある。
それが、阿佐ヶ谷の住宅街に佇む老舗タイ料理店「ピッキーヌ」だ。老舗だけれども、ランチメニューは驚くほどリーズナブル。タイヌードル単品なら700円という手軽さで、何より、とても美味しい大好きな店。
当初は、酸味と辛味が効いたトムヤムヌードルが目当てだったが、一歩店内に入ると冷房が心地よく肌を撫でる。この涼しさなら、好物の「カウソイ」をお願いしよう。
運ばれてきた丼からは、スパイスの刺激とココナッツミルクの甘い香りが立ち上がり、鼻腔をくすぐる。先ずは、揚げ麺のパリパリとした食感を楽しみ、続いてスープが絡んだ麺をツルリと啜る。時間の経過とともに、揚げ麺が濃厚なカレースープをたっぷりと含み、しんなりしてくる過程もまた、この料理の醍醐味だ。
パクチーの爽快な余韻、紫玉ねぎの瑞々しいシャキシャキ感。そこに柔らかな豚肉の旨味とタイの漬物の風味が加わり、重層的な味わいが見事なハーモニーを奏でる。これこそが、飽きさせない美味しさの秘訣だと思う。
こぢんまりとした店内は、続々と訪れる客であっという間に満席。手頃な値段以上に、この芳醇な風味こそが、人々を惹きつけてやまない。やはりここは何度でも帰ってきたくなる場所。
【お店情報】
ピッキーヌ 阿佐谷北2-9-5 地図

先日、銀座一丁目を歩いていて心惹かれるランチ看板に出会った。店名は「炉の鳥」。場所は、かつて「三州屋の銀座一丁目店」があったあの場所だ。炉端や炭火焼などを主軸に据えた日本料理店とのことで、品書きには、「漬けばらちらし丼」や、食欲をそそる「炙りたてのかつお重」の文字が躍る。
1階というが、そこはエレベーターのエントランスのみ。よく見ると奥の突き当りのガラス戸越しにカウンターを望み、意を決して扉を開けると、そこには高級感のある空間が広がる。先客が2組ほどだったが、自分の後にも続々と客が訪れ、8席のカウンター席は瞬く間に埋まった。
手元の献立を眺めると、あの日見かけた「かつお重」の姿はなかった。その日の仕入れが反映されるラインナップには、代わりに鰤やサーモンの丼、河豚鍋も。悩んだ末に、定番の「漬けばらちらし丼(小)」を願い出た。
運ばれてきたのは、色とりどりの具材が隙間なく敷き詰められた一段重。ちなみに「大」を選ぶと、豪快な丼での提供となる。タレを纏ってねっとりと官能的な旨味を放つ鮪に、噛むほどに甘味が弾けるぷりぷりの蛸。そこに彩りを与える玉子と、時折弾ける胡瓜の清涼感が小気味よい。
そのままで堪能した後は、わさびを添えて輪郭を際立たせ、自家製のガリの酸味で口内をリセットする。米を覆い尽くさんばなりの具の多さはたまらない贅沢。米が足りない方には、「追いご飯」が無料というのもうれしい。添えらえたアオサと油揚げの味噌汁も、丁寧な仕事ぶりが染みわたる。
漬けばらちらし以外は、仕入れ次第である程度変わる様子。一期一会の献立を求めて、また暖簾をくぐりたくなる一軒だ。
【お店情報】
炉の鳥 銀座1-6-15 1F 地図

岩戸で豚汁にしようか、懐かしの麻婆豆腐にしようか。迷いながら銀座一丁目辺りまでやって来た。ふと、「ここならば、セントル・ザベーカリーも近い」と思い立ち店先の様子を伺うと、珍しく行列が途絶えている。店内を覗いても待っている人の姿はなく、久しぶりにここでサンドイッチをいただくことに。
GW明けのせいか、いつもより心なしか余裕を感じさせる店内。いつもの席へ案内されると思いきや、通されたのは予約優先とされる、書斎風のモダンな空間。何度か訪ねているが、この席は初めてだ。
ここに来たら、やはり好物のオムレツサンドは外せない。それに、本日のスープ「じゃがいもとベーコンのポタージュ」をセットにして。滑らかな舌触りの奥に、豊かなコクがしみじみ広がる。
そして、お待ちかねのオムレツサンド。少し皿を動かしただけで、ふるふると震えるほどの繊細な柔らかさ。厚くて柔らかいオムレツを落とさぬようそっと持ち上げれば、パ指が沈むほどにパンはふんわり柔らかく、きめ細やかでしっとり吸い付くような質感。オムレツは半熟でも固めでもない、まさに絶妙な火入れ。サンドイッチとして頬張れば、シルキーなパンとともに口の中で静かにほどけていく。味、食感、そして口どけがひとつに溶け合う心地よさ。
自分のような一人客もいるが、グループで訪れ、いくつかのサンドイッチをシェアする光景も微笑ましい。圧倒的に「オムレツ派」を自認するが、近くに運ばれてくるクロックドマダムやエビフライサンドが気になってしまう今日この頃。
【お店情報】
セントル ザ ベーカリー 銀座1-2-1 東京高速道路紺屋ビル 1F 地図
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