CHEZ MOI (阿佐ヶ谷)

変わらぬ安心感と、季節ごとの驚き。日常のすぐそばにある小さな贅沢。
阿佐ヶ谷一番街の喧騒を抜け、少し背筋が伸びるような、けれど温かみのある「シェモア」の扉を久々に叩いた。店主自らが作り上げた「パリの片隅」を思わせるクラシカルな空間は、訪れるたびに日常の慌ただしさを忘れさせてくれる。

席につき、ワインを選んだとろで、まず供されたのはアミューズの穴子のソテー。立ちのぼるのは、チーズとオリーブオイルのやわらかな香り。そこに、穴子の出汁を使ったソースが重なり、ひと口で期待が静かに高まっていく。

この高揚感のまま、冒頭写真の前菜の盛り合わせへと進む。相変わらず圧巻としか言いようのない前菜の盛り合わせ。季節が巡れば、皿の表情もきちんと変わる。仔牛や砂肝、茸をポルチーニのゼリーで寄せたひと品は、森の気配を閉じ込めたような香りと奥行き。しっとりとしたローストポークは、噛みしめるほどに肉本来の甘みが広がる。
メニューには4種類と記されていても、実際にはその倍ほどの色とりどりの品々が並ぶ光景は、相変わらず。どこからフォークをつけるべきか、この幸せな悩みこそがこの店を訪れる醍醐味。

そして、楽しみにしていた季節を彩る肉料理。 寒くなると食べたくなるシューファルシーは、ジロール茸とトリュフの赤ワインソースが利いて、ナイフを入れた瞬間から贅沢な香りが立ち昇る。力強い赤ワインソースが、キャベツの甘みと肉の旨味をまとめ上げ、ジロールの香りが華を添える。

一方、蝦夷鹿の白ワイン煮込みは、白ワインで煮込みことで、素材の持ち味を活かしたやさしいコクのあるソースに。口の中でほろほろとほどける蝦夷鹿は、力強さがありながらも、上品な仕上がり。その絶妙な相性に、最後の一口までワインの手が止まらなかった。
華美ではないが、誠実で滋味深い。遠くへ出かけなくてもよい、少し特別で美味い夜。近くにこういう店があるというありがたさを噛みしめて、店を後にする。遅ればせながら、今年出会った大好きな店。来年もお世話になります。
【お店情報】
CHEZMOI(シェモア) 阿佐谷南2-21-16 地図
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