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2026年2月15日

田っくん商店 (阿佐ヶ谷)

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深更の再発見。いつもの店が、もっと愛おしくなる。

オープン以来ずっとお世話になっている田っくん商店。通常24:00まで営業していて、最近はコンサート帰りの遅い時間に伺うことが多い。22:00近くなっても、旨い酒肴に旨い酒があるからだ。最近訪ねたのは、1月下旬。立ち飲みという気軽な構えながら、注文が入ってから調理をするという丁寧な手仕事。訪れるたび、その期待を裏切らない。

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たとえば、平鱸の刺身。力強い歯ごたえの奥から、噛むほどに押し寄せる深く澄んだ旨味。傍らには、皮の湯引きを使った酢の物の和え物が。日によって漬物が添えられるなど、細部への気配りに、思わず膝を打ちたくなる。

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続いて、つぶ貝の旨煮を。ふっくらと柔らかな身に、じっくりと染み込んだ出汁の深み。噛みしめるたび、貝特有の磯の香りと上品な甘みが口いっぱいに広がり、思わず酒をぐびりと一口。

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今宵の真打ち、穴子と山菜の天婦羅。こごみ、タラの芽、つぼみ菜。一月下旬、まだ寒さの残る夜に届いた春の息吹に、心が躍る。穴子はカリッと香ばしい薄衣を纏い、中は驚くほどふっくら、ホクホク。上品で甘みのある脂が口の中で解ける刹那、季節を先取る悦びに浸る。

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さらに、走りとして品書きに並んでいた空豆焼き。鞘の中で蒸し焼きにされたワタまで掬えば、とろりと甘く、豆らしい青い香りが鼻を抜ける。凍える季節にこの香りに立ち会える贅沢。

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久しぶりに頼んだ麻婆豆腐も、やはり格別。和の趣に寄り添いながら、時にXO醤や豆豉を鮮やかに操る懐の深さ。届いた瞬間の香りからして、もう美味しい。脂っこさや過度な刺激に逃げることなく、花椒の痺れと辛味が実にいい塩梅。

この時間になると、飲みにくる人というよりは、仕事終わりの止まり木として、一人静かに箸を進める背中が並ぶ。普段とは少し違う、落ち着いた客層が醸し出す空気もまた、この店の心地よさ。

【お店情報】
田っくん商店 成田東4-37-8 ハイライフ阿佐ヶ谷 地図

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