泰明庵 せりそば (銀座)

うっかりしていると、あっという間に2月中旬。冬の恵みを今のうちに存分に教授しておかなければと、足を向けたのは「泰明庵」。この時期、のここへ来る目的といえば、「せりそば」である。
暖簾をくぐると、1階は溢れんばかりの活気。「お二階どうぞー!」という声に導かれ階段を上がると、こちらもほぼ満席という盛況ぶりだ。手前のテーブルに相席をさせていただいて、注文するのは、もちろん「せりそば」。
期待に胸を膨らませて待っていると、相席の方にそばが届く。どうやらお二人とも「かしわせいろ」。しかし、店内を見渡せば、かなりの人が芹のそばを注文している様子。やはりこの味を待ちわびるファンは多い。
ついに、手元にそばが届く。隣の方がこの香りが苦手なら、少し申し訳なくなるほどの野趣あふれる芳醇な香り。丼を覗けば、力強い根っこまでを含んだ鮮やかな緑がこんもりと。先ずは根っこを摘まんで一口。シャクシャクと噛むほどに、口内や鼻腔一杯にさらに深く広がる香り。そこへ蕎麦をズズッと啜り込めば、滋味深い温かい出汁の香りも相まって幸せの一杯。
帰り道、呼気に混ざる仄かに残る芹の香りと、じんわりと熱を帯びた胃袋の温かさに、思わず笑みがこぼれる。今シーズン、あと何度この幸せに浸れるだろうか。
【お店情報】
泰明庵 銀座6-3-14 地図
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