阿波や壱兆 鯛と春野菜のそうめん (阿佐ヶ谷)

近頃、どうしても再会を待ちわびていた一杯がある。大好物の半田そうめんの専門店「阿波や壱兆」の「鯛と春野菜のそうめん」だ。昨年の「鯛と薬味野菜のそうめん」がとても美味しさが忘れられず、野菜が春の装いへと変わって再登場したと聞けば、期待に胸が高鳴らないはずがない。
席につき注文を通すと、あいにく春野菜の主役、筍が品切れとのこと。少し肩を落としたが、「その分お値引きしますね」という店主の温かな心遣いに、かえって胸が温かくなる。
運ばれてきたのは、淡い桃色の鯛と鮮やかな菜の花が寄り添う、春を凝縮したような一器。筍がなくとも、そのコントラストは十分に眩しい。添えられた大野海苔の磯の香りが、ふわりと鼻腔をくすぐり食欲を突き動かす。
まずは透き通った出汁をひと口。鯛のあらから丁寧にとったであろう、雑味のない上品なコク。出汁の熱でほんのりと白んだ鯛の身は、口に運べば驚くほどふんわりとやわらかく、噛みしめるほどに上品な甘みがじわり。そこに薬味野菜とはまた違う、菜の花特有のほろ苦さが良いアクセントとして加わり、鯛の甘みをぐっと引き立てる。これぞ春の妙味。
筍の不在を忘れさせるほどに完成された春の味で、太めの半田そうめんがこの繊細な出汁をしっかり抱き込み、喉を通る瞬間の幸福感。名残惜しくも、メニューにあるうちに、ぜひもう一度。
【お店情報】
阿波や壱兆 バイパス店 阿佐谷南3-2-3 ローレルビル 1F 地図
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