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2026年5月31日

すぎ乃 (奈良市)

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古都の夜に染み渡る、出汁の香りと旬の味

大人になってから初めて訪ねる奈良の街。雨の降る肌寒い夜、今夜の目的地として選んだのは、おでんと豚しゃぶが評判の「すぎ乃」。一歩足を踏み入れれば、にこやかな笑顔で迎えてくれて、旅の緊張がふわりと解けるような温かさに包まれる。

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席につき、まず供されたお通しはじゃがいものすり流し。ほっくりとしたやさしいとろみが喉を通り、芯まで冷えた身体にじんわりと染み渡る、うれしい幕開けだ。

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こちらの看板であるおでんは、一皿ずつ丁寧に供される贅沢なスタイル。かつおと昆布の出汁をベースに、種ごとに趣向を凝らした職人の技が光る。まずは定番の大根。カツオを効かせた出汁を含んで飴色に輝く大根に、とろろ昆布がとろりと絡む。お箸がすっと入る柔らかさで、口に入れた瞬間に豊かな出汁の香りが広がる。

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続いて、口にすると旨味あふれる肉汁がジュワッと溢れ出すロールキャベツ。噛むほどに葉の甘みと肉の旨味がほどけ、出汁の風味と一体になっていく。

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地元の名産である大鉄砲豆腐は、豆の味がガツンと濃い力強い仕上がり。大根と同じとろろ昆布があしらわれているが、こちらは昆布主体の出汁を合わせてあり、すっきりとした甘みとコクが豆腐の輪郭を引き立てる、全く違う趣に驚かされる。

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艶やかな玉子には、仕上げにイクラを贅沢に添えて。濃厚な黄身のコクと、プチッと弾けるイクラの塩気がお互いを高め合う、目にも鮮やかな一品。

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さらに関西ならではの梅焼き。魚のすり身に卵を混ぜ合わせ、梅の花の型に入れてふんわりと焼き上げた伝統の練り物は、限界まで出汁を吸い込んでジューシー。噛めばジュワッと溢れる黄金色のスープが、口いっぱいに広がる。

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わかめのおでんは、力強い旨味のわかめが魅せる、出汁をまとった瑞々しい歯ごたえも格別。昆布のおでんが大好きだが、これからはわかめのファンにもなりそうな印象深いい一皿。

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油揚げの中に刻んだ葱をこれでもかと詰めたねぎ巾着は、パンパンに膨らんだお餅のような愛らしさ。お箸で割ると、熱々の出汁と共に、トロトロに火の通った葱の甘味と鮮烈な香りが鼻腔をくすぐる。

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おでんの合間には、もう一つの名物の豚料理から、衣の中に旬を閉じ込めたアスパラ豚巻きカツを。サクッと小気味いい音を立てる薄衣の向こうから、フレッシュなアスパラのみずみずしい水分と、豚肉の良質な脂の旨味がじゅわっと溢れ出す。

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箸休めには、初夏を告げる泉州の水ナスや、ホクホクとした空豆など、季節を慈しむ一皿。素材そのものの力強い水分や甘みが、心地よい余韻を残してくれる。

久方ぶりに再会した奈良の街は、驚くほど優しく、どこまでも深い味わいに満ちていた。大人の奈良で過ごすは、美味しく、豊かに更ける夜。

【お店情報】
すぎ乃 新大宮店 奈良市大宮町6-5-14 プリンセスコートビル 2F 地図

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