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2026年5月24日

向井酒の店 (伊勢)

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伊勢の夜に酔う、住宅街の名酒場

伊勢を訪れたなら、どうしても足を向けたくなる酒場がある。伊勢市駅から歩いて数分、静かな住宅街に佇む「向井酒の店」。かつては立ち飲みを併設した酒屋だったという歴史を持ち、暖簾をくぐる前から名店の風格が漂う。この日も予約で満席。地元の熱気と旅情が心地よく交差する空間だ。

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まずお願いしたいのは、定番の「おからのサラダ」。おからが好きで、店で見かけるとついつい頼んでしまうものだが、おから料理として一つの完成形と呼びたくなるほどの完成度。一見ポテトサラダのようでありながら、おからならではの軽やかさと、パサつきを感じさせない滑らかな舌触りが好きだ。もう一口、もう一口と、箸が止まらない。

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続いて「いわし酢漬け」。その楚々とした美しい佇まいだけで、すでに旨いことを確信する。口にすると、いわしの力強い旨味と後に広がるやわらかい酸味と甘味。漬け汁の塩梅の見事さには、ただ唸るばかり。

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魚の鮮度の良さをさらに実感させてくれたのが、初夏を告げる鰹の一皿、「せりとかつおの漬け」を。手こねずしで育ったから絶対に好きだと思って。むっちりとした生の鰹らしい若い味わいに、せりのシャクシャクとした食感と青々しい香りが重なる。この清涼感が想像以上に鰹の風味を引き立てていて、箸が止まらない。

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ずっと気になっていた「鴨ロースの炭火焼」をハーフサイズで。炭火でじっくりと火入れされた鴨肉は、運ばれた瞬間から香ばしい。噛み締めるたびに溢れ出す濃密な旨味に、思わず笑みがこぼれる。

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この店に来るのは、5月末から6月頭が多く、それで見かけたことがなかったのが「カキフライ」。前回「かますフライ」をいただいてときめたから、絶対「カキフライ」も美味しいに違いないと思っていたら、この日の品書きに発見。お願いしたら想像以上。旨味が凝縮された小判型の牡蠣と、サクッと軽やかな衣のバランスが絶妙。熱々の身から広がる濃厚な海の滋味に、すっかり魅了されてしまう。

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締め括りは「伊勢どりのじぶ煮」。粉をはたいて旨味を閉じ込めた伊勢どりが贅沢に入っているのもうれしいし、出汁の利いた汁の旨いこと。身体の芯から解きほぐされるような優しさに満ちている。

活気あふれる店を出ると、心地よい夜風が頬をなでる。賑やかな余韻に浸りながら歩く静かな帰り道も、この店の魅力。次回の伊勢の旅でも、間違いなくこの暖簾をくぐっているはず。

【お店情報】
向井酒の店 三重県伊勢市宮後2-5-26 地図

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